2011-03-28

ニューヨークとパリをめぐる映画のようなフィルムの話 [NPR]


Original Title: Lost Roll Of Film Returns To Mystery Photographer

今冬、大豪雪だったニューヨークをある男性がスキーで散歩していたら、フィルムが1巻落ちているのを見つけた。拾って現像に出すと、ニューヨークのあちらこちらで撮った白黒写真が出て来た。被写体はみな雪に埋もれている。何枚かには2人の外国人らしい若い男性が写っていた。

フィルムを拾った男性はその白黒写真をスライドショーにしてユーチューブに投稿。写っているのは誰だろうかと問いかけた。すると4日間のうちに100万回以上閲覧されて、800通以上のメールが彼の元に届いた。髪形からしてトルコ人じゃないか、というメールもあった。

2ヶ月後、パリに住むフランス人女性から、私が写真の撮影者だ、というメールが届く。写っているのは彼女の兄たちで、その証拠としてその日に別のカメラで撮った別の写真を送って来た。2人は電話でも話して、パリの女性は写真を郵送してほしい、と頼んだのだけれど、彼は電話を切った後すぐに航空券を購入、ヨーロッパへ行くことにした。

とここまで来るとフランス人女性とアメリカ人男性の恋が始まるのかな、と思うのだけれど、この男性にはガールフレンドがいて、カップルで彼女に会いに行ったのだった。

ユーチューブを見てメールをくれた人たちの中にヨーロッパ各国に住む人たちがいて、こっちに来たら一杯おごるよなんて申し出もいくつかあった。それでニューヨークのカップルは新しい友人たちを訪ねつつヨーロッパを旅して、パリに到着。写真の主と対面した。

不思議な縁で会うことになったパリとニューヨークの人たちは、映画「アミリ」に登場するカフェ・ドゥ・デュモーランで待ち合わせることに。「アミリ」は、ヒロインのアミリが、拾った写真を持ち主に返そうとして奮闘し、持ち主と恋に落ちる話。パリとニューヨークで映画みたいな話が展開したことになる。

写真を持って来たニューヨークの男性は、カフェ・ドゥ・デュモーランを出る時、自分たちを撮ったフィルム1巻に「これが冒険のはじまりだ」と書いたメモを入れて外に置き去りにした。誰かが見つけて新しい物語が始まるかもしれないという期待を込めて。

フィルムカメラ、健在です。フィルムだから可能な話なのです。