2013-09-27

廃墟の乞う [佐々木譲著]


本格ハードボイルドミステリだ、と思った。

北海道が舞台。

ある事件の凄惨な現場に居合わせたことでPTSDとなった刑事が、療養中に非公式に依頼された事件を解いていく。事件の舞台は、ニセコ、夕張、オホーツクの漁港、石狩、日高、帯広、札幌、と北海道全土に跨がっている。町ごとに異なる人々の暮らしぶり、性質、風土。北海道という土地でなければ描けない物語。

アメリカのハードボイルド作品には、地方都市を舞台にした作品も多い。この作品も北海道という土地柄だからこそ、渋いハードボイルド作品に成り得たのだと思う。

2013-09-12

鹿男あをによし [万城目学著]


おもしろい!古代史を絡めたファンタジックな設定に引き込まれた。

卑弥呼の使い番であった鹿、狐、鼠が、人間を使い番に仕立てて卑弥呼の銅鏡を巡って争っているという話。しかし人間にしてみたら勝手に使い番にされ、勝手に呪いをかけられ、勝手に奔走させられ、迷惑この上ない"喜劇"だ。

舞台は近畿地方で、奈良は平城京、京都は伏見稲荷、大阪は難波宮にそれぞれ鹿、狐、鼠が棲みついているということになっている。主人公は、茨城の大学院から臨時教員として女子校に赴任した若い教師。たぶん、筑波大生で鹿島神宮近くに住んでいるというのが鍵なのだと思う。

奈良、京都、大阪にある同じ経営の女子校三校で運動部の大会があり、鹿、狐、鼠はこの運動部の大会の影で暗躍する。女子校に赴任して来た若い男性教師と女子高生、教頭、姉妹校の教員たちとの人間関係も面白い。

テレビドラマ化された時に見ていなかったのだけれど、教頭を児玉清さんが演じていた。イメージぴったり。そして文庫本の解説を児玉さんが書いている。

「鴨川ホルモー」もそうだったけれど、歴史を踏まえたファンタジックな設定の青春ドラマ。最後に胸がキュンとなった。そして奈良に行きたくなった。

2013-09-04

スター・トレック イントゥ・ダークネス [J.J.エイブラムス]


ベネディクト・カンバーバッチを観るために観ることに。

B.C.はロンドンのテロ犯として登場するが、実は異星の移住者のリーダーで、並外れた能力を有している。前半は敵役として、後半に入るとスタートレックチームに協力するようになる。ある意味ツンデレ?

壮大なスペースファンタジーで、あれよあれよという間にストーリーが展開して、あぁっと驚くアクションシーンが繰り出されて目まぐるしい。とにかくB.C.を追っかけて見逃さないようにしていた。

黒ずくめの彼はクールでイカしてました。