2013-07-28

ごはんですよ -くり返し作るわたしの定番レシピ集- [なかしましほ著]


ごはんのおかずと麺類、スープなどのレシピ集。

使えるレシピが多い。ごはんをお鍋で炊くというので親近感。うちも鍋で炊いているので。

きのこのさっぱりごはんはもう2回作った。きのこに味付けしてからお米に加え、蓋を外した状態で沸騰させてから蓋をして炊く、というワザと、オリーブ油を混ぜてから炊くというワザを知ることができた。オリーブ油を混ぜることで鍋底にごはんが焦げ付きにくいことがわかった。

とうふとナスのドライカレーも作った。ベジタリアンカレーですね。

それから、なめたけを自家製できるということにびっくり。これなら固形率99%のなめたけを楽しめる。

絶対作ってみようと思っているのはたまごみそ。みそ、砂糖、酒をまぜた中に溶き卵を加えて煮詰めるというもの。なかしましほさんの実家でよく作られているそうだけれど、みそと卵をまぜて加熱する、というのが珍しい感じ。

それから、絶対作ってみようと思っているのがなまけものピザ。ピザ生地をわりかし簡単に作るレシピが紹介されている。時々すごくピザを食べたくなるのだが、宅配ピザは高いし、冷凍ピザはボリュームに欠ける。

フードプロセッサーを使うスープ類は別として、この本には作ってみようと思わせるレシピが多い。

冒険者たち [ロベール・アンリコ監督]


切ない映画だ。

青春は終わったと思っている中年の修理工、人生の絶頂期にいる若い飛行機乗り、自分の才能を信じ切っている若いアーティストの女の子が知り合う。3人の付き合いが始まり、ひょんなことからアフリカ沖に沈んでいる金塊を探す船旅を始める。

曇天の寒いパリを抜け出して、青空のアフリカ沖で3人はボロ船で生活しながら金塊を探す気ままな生活を楽しむが、そこにやさぐれたフランス人がやって来たことから歯車が狂い始める。

アラン・ドロンが本当にハンサム。こんなにハンサムで演技力のある男優はアラン・ドロン以降いないような気がする。それからフランス映画はさすがに衣装がお洒落。リノ・バンチュラのツナギですら粋に見えるし、ヒロインの服はまさにチープシック。

アフリカに行く前のウツウツとした生活、アフリカでの明るい幸せな生活、そした急転直下の悲劇とその結末。

多感な中学生の頃にテレビで観て、ラストシーンで泣いてしまった。今回もまた、胸がぎゅーっと締め付けられるような切なさでいっぱいになった。テーマ音楽がまた悲しみを掻き立たせる。フランス映画はお洒落に見せかけて、辛辣に人生の不条理を描いている。

1967年の作品。

2013-07-27

杉の柩 [アガサ・クリスティ著]


人間ドラマが前面に出ているミステリ。

富豪のおばが亡くなり、姪のエリノアが遺産を相続した。エリノアはおばの亡き夫の甥ロディと婚約していたが、ロディはおばの世話係をしていた若い娘メアリィに心を奪われ、婚約は解消される。ところが、メアリィが急死。嫉妬からの殺人ではないかと容疑がエリノアにかかる。エリノアに心を寄せる村の医師がポアロの捜査を依頼して、法廷の場で真相が明らかになる。

三部に分かれていて、第一部はエリノア、ロディ、メアリィの三角関係。エリノアの心の動きを中心にドラマが描かれている。第二部でポアロ登場。詮索好きな看護婦たち、村の若者、屋敷の使用人たちなどへの事情聴取を通して、1部に至るまでにどのようなドラマがあったのかを描いている。そして最終章であっと驚く真相が明かされ、エリノアと村の医師のロマンスが始まって幕となる。

クリスティ作品は大学入学前に全作品を読破したのでこれも読んでいた。「杉の柩」は面白かった、ということは覚えていたがあらすじはすっかり忘れていた。でも、クリスティが仕掛けた犯人を示すささいな伏線にはちゃんと引っかかった。意外に肝心なことは残っているものですね。

1940年の作品。戦前ののどかなイギリスがある。エリノアに恋する村の医師が
「私の欠点は野心が全然ないということですかな。私は頬ひげでもはやして、土地の連中が、『そりゃあ、ずっとロードさんにかかってたんだし、あの人はいい老医師だがね、とにかくひどく旧式だからな。やはり、若い誰それさんに診てもらったほうがいいだろうよ。新しいからね。やりかがたすべて』なんて言いだすまで、ここにいたいですな」と言っている。平和なイギリスはこのすぐ後に戦争に突入するのだ。

2013-07-25

子どもに語るイタリアの昔話 [剣持弘子訳・再話]


イタリアの昔話が集められている本。

過日、ふとラジオをつけたら、J-WAVEで秀島史香さんが「3本のカーネーション」を朗読していた。続きと結末を知りたくて読むことに。

3本のカーネーションはこんな話。美しい3人姉妹がいる家に、紳士に変装した悪魔がやってきて長姉を嫁にもらいうける。悪魔は自分の屋敷に着くと花嫁の胸元にカーネーションを挿し、ある部屋だけは絶対に中に入ってはいけない、という。悪魔が留守の時、長姉は好奇心に負けて入ってはいけない部屋に入ると、そこでは娘たちが渦巻く炎に焼かれていた。炎は花嫁の胸元のカーネーションを焼き、帰ってきた悪魔はそれを見とがめて花嫁を炎の部屋に放り込んでしまう。悪魔は別の紳士に変装して次姉を嫁にもらいうけるが、次姉も長姉と同じ末路を辿り....。そして悪魔は末娘を嫁にもらいうける。はたして.....。

まえがきに、イタリアはオリエントとの交易がさかんだったので、異国情緒のある民話が多い、と書かれている。たしかに、航海に出た商人の息子が主人公の「死人の恩返し」や、魔法のアイテムを探して集める「ものいう小鳥」などはアラビアン・ナイトにありそうな話だ。

お話が進むにつれて、喜び、悲しみ、怯え、笑いの表情を浮かべる子どもたちを見ながら話して聞かせたらとても楽しいだろうと思う。そして私が子どもの時にそうだったように、異国文化への興味と想像の楽しさを子どもたちが人生に取り入れてくれたら、と思う。

2013-07-22

3月のライオン [羽海野チカ著]


8巻まで一気読みした。またもや骨太のドラマだ。

中学生でプロ棋士となった桐山零を主人公に、将棋の世界と彼を取り巻く人々のドラマを描いている。すべての巻の裏表紙に必ず「様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です」と書かれている。

両親と妹を交通事故で亡くし天涯孤独となった主人公は、父の友人のプロ棋士の家に引き取られ、棋士として育てられるが、養父の実子たちは棋士として主人公ほどの才能がなく、中学生でプロとなった主人公は養父の家を出て自活を始める。たった一人ぼっちで登場した主人公が、棋士仲間、偶然知り合った姉妹たち、高校の先生と先輩たち、との付き合いから"何かを"得て自分の人生を広げて深めていく。彼を取り巻く人々にも葛藤があり、主人公と関わることで彼らも"何かを"得て人生を深めていく。若い人たちだけでなく、中年、初老の登場人物の人生が描かれていて、ドラマを重厚にしている。

タイトルの3月のライオンは、棋士の順位をつけるリーグ戦の最終局、昇進を賭けた一戦が3月に行われることに由来するよう。

単行本には、先崎八段が将棋の世界を色々解説しているコラムがあり、おもしろい。「ハチミツとクローバー」にも掲載されていたけれど、巻末の羽海野チカさんの漫画家生活のショート漫画を読むのも楽しみ。

2013-07-15

ウー・ウェンクッキングサロン読本1 小麦粉料理 どうしてもわからなかった おいしさのひみつ [ウー・ウェン著]


ウー・ウェンさんの「北京小麦粉料理」の続編といえるが、もっと実用的で、ウー・ウェンさんの考えが反映されている。

「北京小麦粉料理」に掲載されていない、でもカンタンに作れて特別に見られる料理がいくつかあった。その一つがドライイーストを使った焼餅。これを応用するとフライパンでシナモンロールが作れるのではないかと思う。

"西洋ならオーブンでパンを焼くのが一般的ですが、中国では蒸したり、フライパンで焼いたりが普通です。私たち東洋の国では、もともとオーブンを使う料理が少ないですね。同じ小麦粉料理にしても、それが西洋と東洋の台所に違いだと思います"(p.72)

お菓子のレシピはオーブンがないと作れないようになっている。オーブンが普及していない日本は不便だなぁ、と思っていたが、"東洋"にはオーブンの文化がない、とウー・ウェンさんにはっきり言われてハっとした。オーブンでなくフライパンで作るレシピを考えればいいのか。

もうひとつウー・ウェンさんに言われてハっとしたこと。

中国では食事に誘うとき、食べられないものはありますか?と聞くとのこと。多民族国家なので、生活習慣と考え方が人によって違うことを前提につきあっているから。

"民族によって性格もさまざまですから、常にまわりを意識しながら生きていく必要があります。日本人はふだん民族を意識することがないせいか、中国人に比べると自己防衛の能力がとても低いように思います。とてもお人好しでだまされやすかったり、判断が甘かったり。危ないとわかっている地域にわざわざ行ったりして、中国人の私にはとても不思議に思います。中国のように多くの民族が同居する環境の中では、人への思いやりももちろん大切ですが、自分も上手に生きていく能力が重要になるのですね。"(p.81)

なるほど。たしかに日本人は他者と自分は全く異なる存在だ、ということをあまり意識しないで生活しているようだ。でも相手の立場に立って考えることができるのであれば、自ずと"上手に生きて"いけるような気がする。