2013-10-20

清須会議 [三谷幸喜著]


脚本家が書く小説ってどんなんだろう、と思って読み始めて、なるほど、この手があったか、と思った。

戦闘シーンが多い戦国時代だけれど、知略で抜きん出ようとする武将たちの腹芸を描いている。とはいえ、あまり重くない文章スタイルなのでどんどん読み進めることができた。

なぜか秀吉は火野正平、黒田官兵衛は岡田准一、前田利家は唐沢寿明のイメージで読んでしまった。

三谷さんはこの自分の小説を原作に映画を撮るとのこと。究極のお人形遊びをしている幸せな人だな、と思う。」

2013-10-04

プリンセストヨトミ [万城目学著]


これも面白い!!!!!歴史を基にしたファンタジックな設定に会計検査院という堅い役所が絡んだ絶妙の物語。

会計検査院の役人3人が、大阪空堀商店街に事務所を置くとある協会の会計監査に赴く。この協会は政府から多額の補助金を得ているにも関わらず、事業実態があいまい。調査に赴いた検査官たちは、日本国内にもう一つの国家「大阪国」が存在していたことを知る。これに、性同一性障害の男の子と幼なじみの女の子、辰野金吾が大阪の残した建築物の数々、大阪城、豊臣一族が謎を投げかけてくる。

大阪国。ありそうだ。中学生の時に初めて大阪へ行った時、関東との文化の違いに眩暈を覚えた。10代の世間知らずにとって、大阪は異国だった。

この本を読んだ後、大阪へ行くことがあったので空堀商店街へ行ってみたが、本当に坂道にある商店街だった。しかもお店の人たちがとても親しげで、楽しかった。だけど、小説で重要な役割を持つ、辰野金吾設計のビルらしきものは見当たらなかった。次に大阪に行く時には、大正区のポンポン船に乗ってみたい。

これは、大阪における父と息子を描いた物語だと思う。それを踏まえてニヤっとした台詞。
"みんな知ってるの----大阪の女は、男が何をやってるか、全部知ってるの。だから、敢えて何も言わへんの"
もしかしたら本当の主題はこれなのかも。そうなんだ。奴らを手の平の上で遊ばせていると思えばいいのだ。