2009-11-28

母乳銀行 | こねないパン | アニメ弁当 [GOOD FOOD]


Original title: No Knead Bread; Milk Bank; Cute Food; Whale Hunt

母乳銀行Breast Milk Bank
巷に色んな食べ物があふれているけれど、一番最初に口にするのは母乳。母乳には新生児にとって必要な栄養、免疫が含まれていて、非常に高機能の食品といえる。その母乳を集めている機関の話。病気の新生児や幼児の中には、医療品として製造された栄養液を受け付けない子たちがいる。そういう子たちには母乳が有効なので、自分の子どもが必要とする分以上に母乳が出てしまうお母さんたちに寄付してもらっている。健康なお母さんなら誰でも寄付できるとのこと。でも"健康"は意外にハードルが高いかもしれない、と思う

こねないパンNo Knead Bread
こねないパンというタイトルを見て、村上祥子さんの「電子レンジパン」かな、と思ったが違った。アメリカで有名な料理コラムニストがこねないパンのレシピを紹介したら、燎原の火のごとくインターネット上にその情報が広がったとのこと。

開拓時代の昔は、この方法でパンを作っていたらしい。水、小麦粉、塩、少しのイーストを混ぜて18時間置いておく。かなりドロドロの状態になるよう。それをガス抜きして、ベンチタイムをとって、ルクレーゼなどの鋳鉄鍋に入れ、蓋をして20分くらいオーブンで焼く。蓋を取って焦げ目がつくようにまた20分くらい焼く。それだけ。

酒粕で自家製酵母を作ってパンを焼こうと試行錯誤を繰り返していたところです。酒粕なら簡単と言われたけれどダメだった。このレシピは18時間置くというのがミソですね。やってみようと思う。ただオーブンに入るくらいの小さなルクレーゼがない。16cm径を買おうかなぁ。

アニメ弁当Face Food
日本のお母さんたちが作るアニメキャラの顔や姿を描いたお弁当の話題。毎日2時間かけて作るらしい。でも幼稚園生だった子どもも5年経てば10才になるわけで、経験を積んでお母さんが腕を上げても子どもが「こんなこどもっぽいお弁当いらない!」と言われて捨てたという話も出た。子どもの成長は早く、親は停滞したままなんですね。

2009-11-27

死せる魂 [イアン・ランキン著]


エジンバラを舞台にしたリーバス警部シリーズ。

同僚のエリート警部の自殺、幼児失踪、小児性愛者の社会復帰、養護施設での虐待、昔の恋人の息子の失踪、そしてアメリカから帰国した殺人犯、といくつもの事件が同時進行している。全てが一つの真相に辿り着くのかと思ったが、それぞれがそれぞれに決着した。中には決着しないで次回作に期待をつなぐ事件もあるけれど。

これら事件の渦中で主人公がどのように考え、他者と関わり、行動していくかが描かれている。色々な側面を見せながら、今回のテーマ、暴力の連鎖ということで作品がちゃんとまとまっている。イアン・ランキン、さすがです。

発表順に読んでいこうと思っているのだけれど、また1作飛ばしてしまったよう。しかし前作の余韻がこの作品に漂っているので、前作も読んでおかなければと思う。

2009-11-24

Wiiボーリングを楽しむシニアたち [NPR]


Original Title: Who's Gaming Now? Seniors Turn To Wii Bowling

任天堂Wiiのボーリングゲームが米国の高齢者の間でブームになっている話。

全米で186チーム1000人がWiiボーリング競技大会の参加して、スコアを競い合っている。ご近所のWiiがある高齢者センターなどでプレイすると、スコアはオンラインで集計され、後日結果が発表される。

プレイヤーの中には、かつてボウリングで鳴らした人もいる。Wiiボーリングは"リアル"なボーリングと勝手が違うけれど、昔取った杵柄かそういう人は高得点を獲得しているよう。チームメンバーはお揃いのユニフォームを着て、Wiiコントローラー片手にボーリングの練習(?)に余念がない。

音だけ聞いていると、ボウリング場で遊んでいるように聞こえる。この記事のレポーターが最後に「ゲームはバーチャルでも、勝敗に一喜一憂する感情はリアルだ」と言っている。長生きはするものです。

2009-11-17

チーズの真実 | メレンゲパイのコツ | トゥイッターで三行レシピ [GOOD FOOD]


Original Title: Eating Cactus; American Cheese, Oyster Art; Twitter Recipes

チーズの真実American Cheese
アメリカで市販されているチーズについて書かれた本の作者にインタビュー。スライスチーズと緑の容器に入ったパルメザンチーズについて真実が語られている。

スライスチーズはプロセスチーズであって、プレスしやすくするために油を混ぜて柔らかくしているとのこと。本来チーズは、乳、酵母、塩のみで作られるものだから、スライスチーズはチーズとは言えないと言っている。商品パッケージに記載されている「加工チーズ食品」は要するにチーズではないってことではないの?さらに!衝撃的なのは、緑の容器に入ったパルメザンチーズは牛乳パウダーなんだと。チーズは生鮮食品だから、何ヶ月も置いておけるはずがない。

ちょうどチーズ本を読んだばかりなので作者の言っていることがよくわかった。

この人は、アメリカ人に「地元産のなるべく加工しない」食品を食べるようになって欲しいという思いで本を書いているとのこと。「オレンジジュースの真実」を書いた人かと思ったら、別人だった。

メレンゲパイのコツLemon Meringue Pie
またもやパイの話題。番組ホストのパイの先生が登場。メレンゲパイを作るときのコツを教えてくれている。まず、パイ生地にフィリングを流してオーブンで焼く。一旦取り出してメレンゲを乗せ、先っちょに焦げ目がつくくらい焼くとのこと。こうすればメレンゲが白いまま仕上がるわけ。なるほど!

トゥイッター三行レシピ@Cookbook
トゥイッターでレシピを投稿している人の話。文字数制限をクリアするために独自の略語を使っている。トゥイッターで、というのがコロンブスの卵ですね。夕食のメニューに困ったら気軽にチェックしてヒントをもらえる。日本には「おつまみ一行レシピ」がすでにありますね。

2009-11-13

チーズ 魅力のすべて [松平博雄著]


戦後、チーズの輸入に携わり、恐らく日本のチーズ業界の重鎮になられた方が書いたチーズに関する本。大判なので、写真が豊富。でもチーズの作り方、熟成方法、チーズ産地の旅行記、チーズの栄養面、社交面など、チーズのあらゆることを網羅していて、読み物としてとても興味深く勉強になる。

特にチーズ産地を訪れた旅行記が面白く、その地へ行きたくなる。チーズは高山地帯で生産されているものが多いから、山に登ってチーズを食べて、楽しい旅行ができそう。

牛乳、羊乳、山羊乳など原材料の違いや熟成方法によって風味が違ってくるから色んな種類のチーズがあるのですね。もともとチーズが好きだったけれど、この本を読んでからチーズに対する理解が深まり、ますますチーズがおいしく感じられる。取り上げられているチーズをすべて食べてみたい。しかしチーズは日本では高いですからねぇ。

2009-11-11

セサミストリート40年の挑戦 [NPR]


Original Title: 40 Years Of Lessons On 'Sesame Street'

セサミストリートが放送40周年を迎えた。長寿番組だけれど、決して保守的ではなく、常に実験的内容を試みているということで、セサミストリートの試みを8つ取り上げている。

まず子どものための番組、というのが実験的だった。それから、クッキー・モンスターやエルモといった怪物をメインに登場させることも実験的だった。怪物が出たら子どもは怖がってしまうと言われていたらしい。でも子どもたちは怪物に大喜び。番組は成功した。

それから新しいキャラクターを次々に作り出していること。エルモは放送開始時からいたのではなかった。チャレンジする一方失敗を糧にしている。セサミストリートの他にアラウンド・コーナーという番組を作ったがウケず、これはすぐに取りやめた。

ディズニーランドや京都の老舗と同じですね。長く続くということは、状況に合わせてマイナーチェンジを繰り返すということ。たぶんマイナーチェンジで携わっている人たちの気分が転換され、その積極的な気持ちが対象に伝わって受け入れ続けられるのでしょう。積極的な気持ちを持ち続けるための工夫は必要です。

2009-11-07

帰還兵の就農 [GOOD FOOD]


Original Title: Farmer Veteran Coalition

帰還兵の就農を推進している団体がある。主にイラクやアフガンからの帰還兵が対象だが、ベトナム戦争の帰還兵の中にも就農希望者がいるとのこと。

精神的な傷害を負っている帰還兵は、農業に従事することで癒されていると言っている。ある意味、軍隊での仕事と農業は重なる部分があるらしい。戦場では小規模の土木工事をすることもあるので。

でも、就農する帰還兵たちは自分たちが時代の転換点に立っていることを十分理解しているよう。これまで物を作り出す労働があまりになおざりにされていた。これからは本当の意味での労働、今風に言えばリアルな労働、に社会が揺り戻されると考えている。そして自分たちがその先陣を切っていると考えている。

身体障害を負った帰還兵の中にも就農を希望し、実現している人がいるとのこと。

農地の回復という点では、私も夢想することがある。もし何兆円かお金があったら、都会にある空き地をすべて農地にして、ホームレスの人たちに農作業に従事してもらい、収穫物を換金するシステムを作りたい。青山通りで取れたて野菜が買えたらいいじゃない?

2009-11-06

チャイルド44 [トム・ロブ・スミス著]


おもしろい!!!!!

旧ソ連の、スターリンからブレジネフに代わる時代を背景に、連続殺人事件に気づいた情報将校が犯人を追っていく話。なのだけれど、警察小説のように現場で聞き取りしたり、同僚と推理を重ねたりしながら捜査を進めていくのではない。冒険小説並みの過酷な試練と純文学のような人間性の追究も同時に描いている。

色々な要素が絡み合っているけれど、すべてがしっかりと縒り合わさってストーリーを作り上げている。独裁政権下の疑心暗鬼の生活、経済破綻による生存の危機、官僚主義による社会停滞。しかし本質は変わらない人間を描いている。周囲の誰も信用できないという状況はすごくスリリングで、緊張感に溢れているけれど、その環境を作るため旧ソ連を持ち出してきた作者の発想が非凡だ。

もしかして作者は旧ソ連を生きた両親の下に生まれたのかと思ったが、生まれも育ちもイギリスだった。ケンブリッジの英文科を主席で卒業したとのこと。頭のいい人は本当に優れているのですね。

私がこの作品を評価するのは、主人公の妻も"主人公"といえるほど積極的に果敢に人生を生きている姿が描かれているから。それと、主人公と両親との関係から人間の不可思議な善が漂っていること。

旧ソ連が崩壊したのは、競争を排除した共産主義のせいでなく、多様であることを認めなかったからと思う。多様である社会は破綻しにくい。それは国ばかりでなく、企業や学校、家庭、一人の人間でもいえることだと思う。