2013-07-15

ウー・ウェンクッキングサロン読本1 小麦粉料理 どうしてもわからなかった おいしさのひみつ [ウー・ウェン著]


ウー・ウェンさんの「北京小麦粉料理」の続編といえるが、もっと実用的で、ウー・ウェンさんの考えが反映されている。

「北京小麦粉料理」に掲載されていない、でもカンタンに作れて特別に見られる料理がいくつかあった。その一つがドライイーストを使った焼餅。これを応用するとフライパンでシナモンロールが作れるのではないかと思う。

"西洋ならオーブンでパンを焼くのが一般的ですが、中国では蒸したり、フライパンで焼いたりが普通です。私たち東洋の国では、もともとオーブンを使う料理が少ないですね。同じ小麦粉料理にしても、それが西洋と東洋の台所に違いだと思います"(p.72)

お菓子のレシピはオーブンがないと作れないようになっている。オーブンが普及していない日本は不便だなぁ、と思っていたが、"東洋"にはオーブンの文化がない、とウー・ウェンさんにはっきり言われてハっとした。オーブンでなくフライパンで作るレシピを考えればいいのか。

もうひとつウー・ウェンさんに言われてハっとしたこと。

中国では食事に誘うとき、食べられないものはありますか?と聞くとのこと。多民族国家なので、生活習慣と考え方が人によって違うことを前提につきあっているから。

"民族によって性格もさまざまですから、常にまわりを意識しながら生きていく必要があります。日本人はふだん民族を意識することがないせいか、中国人に比べると自己防衛の能力がとても低いように思います。とてもお人好しでだまされやすかったり、判断が甘かったり。危ないとわかっている地域にわざわざ行ったりして、中国人の私にはとても不思議に思います。中国のように多くの民族が同居する環境の中では、人への思いやりももちろん大切ですが、自分も上手に生きていく能力が重要になるのですね。"(p.81)

なるほど。たしかに日本人は他者と自分は全く異なる存在だ、ということをあまり意識しないで生活しているようだ。でも相手の立場に立って考えることができるのであれば、自ずと"上手に生きて"いけるような気がする。