2013-07-22

3月のライオン [羽海野チカ著]


8巻まで一気読みした。またもや骨太のドラマだ。

中学生でプロ棋士となった桐山零を主人公に、将棋の世界と彼を取り巻く人々のドラマを描いている。すべての巻の裏表紙に必ず「様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です」と書かれている。

両親と妹を交通事故で亡くし天涯孤独となった主人公は、父の友人のプロ棋士の家に引き取られ、棋士として育てられるが、養父の実子たちは棋士として主人公ほどの才能がなく、中学生でプロとなった主人公は養父の家を出て自活を始める。たった一人ぼっちで登場した主人公が、棋士仲間、偶然知り合った姉妹たち、高校の先生と先輩たち、との付き合いから"何かを"得て自分の人生を広げて深めていく。彼を取り巻く人々にも葛藤があり、主人公と関わることで彼らも"何かを"得て人生を深めていく。若い人たちだけでなく、中年、初老の登場人物の人生が描かれていて、ドラマを重厚にしている。

タイトルの3月のライオンは、棋士の順位をつけるリーグ戦の最終局、昇進を賭けた一戦が3月に行われることに由来するよう。

単行本には、先崎八段が将棋の世界を色々解説しているコラムがあり、おもしろい。「ハチミツとクローバー」にも掲載されていたけれど、巻末の羽海野チカさんの漫画家生活のショート漫画を読むのも楽しみ。