2011-03-10

コンパクトディスク、30年の栄枯盛衰 [NPR]


Original Title: The Legacy Of The CD: Innovation That Ate Itself

ニュージャージーにあるソニーの工場で、CDの生産が3月末に終了する。CDが衰退したのは因果応報なのかもしれない、という話。

CDはソニーとフィリップスが1980年代始めに開発した。当初音楽業界はCDというピカピカ光る円盤に懐疑的だったが、エレクトラ・レコードの創立者ホルツマンがCDの啓蒙に一役買ったため、普及がすすんだ。

カセットテープやLPの価格が8ドルだった当時、CDには15ドルの価格をつけることができた。しかも軽く、扱いやすいので運送費も削減できて、レコード会社にとって利ざやが大きい商品だった。しかし消費者にとっては、あるアーティストのある曲1曲だけが欲しくても15ドルから18ドル支払って1枚のCDを買わなければならなかった。こんなに儲かる商品もないので、CDの生産が安定して原価がどんどん安くなっても、レコード会社はCDの値段を下げなかった。

CDの売り上げは2000年がピークで、以降下落していく。この10年で半分に落ち込んだ。

個人のパソコンでコピーを作るのが簡単になったことも売り上げ減少の要因の一つ。もちろん音楽をダウンロードで買えるようになったことが大きい。2、3ドルで好きな曲を1曲ずつ買えるのに、18ドルも出して好きでもない曲も一緒に購入する気にはなれない。

それでもCDの需要は細々と続いている。デジタルファイルとしてでなく実物として音楽を所有したい人たちがいるし、5ドル以下の中古CD の人気は衰えていないよう。

しかし、音楽がファイルという実体のない商品ばかりになったら、CD屋に行って店員と音楽談義する楽しみがなくなってしまう。レコード会社がCDの価格を適正に下方修正していたらCDはまだまだ音楽媒体の主流だったかもしれない。