2010-04-23

グラーグ57 [トム・ロブ・スミス著]


衝撃的だった「チャイルド44」の続編。フルシチョフのスターリン批判を受けて政治犯が次々と収容所から釈放される。その中の一人が自分たちを密告した人たちや逮捕拷問した捜査官たちを暗殺していく。主人公のレオも捜査官だった過去ゆえに標的とされ、家族が危機に晒される。

今回も共産時代のロシアの知られざる側面がいろいろ描かれている。収容所の管理者と政治犯たち、ヴォリと呼ばれる犯罪者集団、ソ連官僚の改革論者と保守派の攻防。

レオとライーサが養女にした少女が第二の主人公のように描かれている。14才。ジュリエットのように、外からの刺激を受けてどんどん世界を広げていく。思春期に自分には力があると感じられてそれを行使できる状況にあったらどんな気分になるだろう。紛争国にいる少年兵、少女兵はこんな風に出来上がっていったのではないだろうかと思った。

これでもかこれでもかのドラマてんこ盛り。登場人物をたった3メートル移動させる間にも作者はドラマを用意してくれている。そこまで登場人物たちをいじめなくてもいいんじゃない。復讐、復讐ってよく物語の原動力になっているけれど、復讐相手のことを考え続けるなんてまっぴらごめんだ。復讐が生きるよすがになるほど復讐相手に自分の人生をあずけたくないね。

レオが主人公の物語はもう1作で完結するらしい。