2011-01-04

ニューヨーク・アンダーグラウンド [NPR]


Original Title: Into The Tunnels: Exploring The Underside Of NYC

NPRの(中年?)女性記者が、地下歩きの達人とニューヨークの地下を歩き回った話。

地下歩きの達人は、コロンビア大学大学院生の32才。大学時代、数学の試験勉強をしていた深夜、問題を解くためにはコンピューターセンターへ行かなければならず、大学近辺の地下システムを知っている友達に頼んで地下からコンピューターセンターに忍んで行ったのが、地下歩きを始めたきっかけ。

地上にも危険はあるが、地下にも違った種類の危険がある。まず空気が悪い。ガス管が通っているので、もしガス漏れしていたらヘッドライトの小さな火花ですら大爆発を起こす。

記者の最初の地下歩きは、道路のマンホールから排水渠へ。ニューヨークを流れる川の下にある排水渠で、途中で雪解け水があふれている箇所があり、危険だというので、地下歩きの達人だけが水を掻き分けて先に進んで行った。記者たちはそこで朝5時まで待たされた。

地下歩きの達人は、地下では時間の流れが異なるんだよね、と言っている。実際は3メートル程度だけれど、人間社会から100万マイルも離れた所にいるような感じがすると。

一行は水があふれている排水渠からコロンビア大学方面へ移動。かつて精神病棟があった建物の地下で仮眠を取る。ここは木造で、地下の中では比較的暖かい場所。

6時間の仮眠後、一行は出発し、コロンビア大学の暖房施設から地上へ出る。出た所には「哲学」と書かれたドアがあり、何やらミステリアス。「哲学」のドアを開けてみると、そこは教授たちのクリスマスパーティ会場だった。

次の地下歩きは、地下鉄の廃線路。最終電車が去った後、一行は線路に下り歩き始める。地下鉄線路には高圧電流が流れているので、十分注意しなければならない。そういえば、1974年制作の映画「サブウェイ・パニック」のラストで犯人の一人が線路の高圧電流で自殺するシーンがある。

しばらく歩いているうちに、達人が人影を見た、と言っていきなり走り出す。地下鉄の警備員に見つかったらしい。地下歩きは完全に違法なので捕まるわけにいかない。この日の地下歩きは中止された。

記者の最後の地下歩きは、アムトラックのトンネル。アムトラックはアメリカ横断鉄道の名称。ホームレスの人たちが住んでいるが、各人の住処は互いに離れているよう。ここで50才になる(黒人?)女性ホームレスを訪ねる。本人によると、海兵隊除隊後両親が亡くなりホームレスになってしまった。猫がトンネルに入っていくのを見て、追いかけて来たらここを見つけ、住むようになったとのこと。

何にも持っていないけれど、何でも持っている地上に住んでいる人たちより自分の方が幸せ、と言っている。

地下歩きの達人は7年前、腰に骨癌を患った。医者に、もう歩けるようにならないと診断されたが、回復。後遺症で以前のように走れないし、歩いているうちに関節炎で腰が耐え難いほど痛くなってくる。地下歩きの冒険もそのうちできなくなるはず。だから何でもできるうちに人生を楽しむ方がいいと思うようになった。

達人は、ほぼ完全なニューヨーク地下マップを作り上げたとのこと。恐らくニューヨーク市当局ですらそこまで地下を把握していないはず。

将来は、インディ・ジョーンズのように半分教師として、半分冒険者としてやっていきたい、と言っている。