2010-02-09

シティ・オブ・ボーンズ [マイクル・コナリー著]


ロサンゼルスの刑事、ハリー・ボッシュシリーズ。住宅地の裏山から少年の遺骨が発見される。骨から、幼児期から虐待を受け続けたこの少年が20年前に殺されたことがわかる。大昔(?)の殺人事件の犯人を、ボッシュが数少ない手がかりから突き止めていく。

被害者の身元は案外早く判明するが、真犯人に辿り着くまで容疑者が二転三転するし、ボッシュの私生活も二転三転する。ボッシュが異彩を放つのは、犯人をあげることではなく、真相を明らかにすることを信条としているから。そして、ラストのラスト、シリーズファンをのけぞらせる展開が!

リーバス警部シリーズを読み続けてたので、二人の共通点に目がいってしまった。まず、二人とも軍隊経験がある。管理職ではないけれどその手前の階級。最近直属の上司が女性になった。女性の後輩同僚がいる。ボッシュはキズミン、リーバスはシボーン。二人とも音楽好き。ボッシュはジャズ、リーバスはロック。事件捜査中に知り合った女性との交際がたびたびある。

異なる点は、ボッシュが孤児同然なのに対し、リーバスは貧しいながらも両親と弟がいる家族の中で育ったこと。ボッシュは飲酒、喫煙を節制し、この年齢にしては体型を保っているのに対し、リーバスは飲酒、喫煙に溺れ、タイヤを二本重ねたような下腹部になっている。

しかし捜査に関しては、二人とも気になる事柄はなおざりにせず、現場へ行って事実を確認することを厭わない。それが名刑事たる所以なのでしょう。渡辺謙が演じた実在の刑事、平塚八兵衛氏も現場へ行って事実を確認して、難事件の真相に辿り着いている。

ボッシュ・シリーズは90年代に読んでいたのだけれど、しばらく遠ざかっていた。先日ボッシュ・シリーズが続いていることを知り、再び読むことに。今回のボッシュはこれまで読んだボッシュよりだいぶソフトになっていたけれど、ラストの「!?」な展開に、また目が離せなくなってしまった。