2009-05-05

FBI心理分析官-異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記- [ロバート・K・レスラー&トム・シャットマン著]


主に性的連続殺人の犯罪現場の状況から犯人像を描き出す科学捜査の技術について、その手法を発展させた第一人者が、これまでの有名事件を例に語っている。

例えば、20代の女性が自宅で襲われて、近くの森で惨殺遺体で発見される。心理分析官は「犯人はやせ型の20代の白人男性で、高卒か大学中退。一人住まいか片親と暮らしている。一人住まいなら部屋は汚れ放題だ」なんて犯人像を描き出す。シャーロック・ホームズのようだ。このプロファイルをもとに、警察は容疑者を絞り、捜査の無駄を減らすことができる。

性的連続殺人の犯人は大まかに秩序型と非秩序型に分けられ、秩序型は人の心を操ることに長け、被害者を自分のコントロール下において犯行に及ぶとのこと。人を支配しようとする人には警戒しなければ。一方、支配されたい願望を持っている人もいますけれど。

巻末の解説を書いている精神医学者の福島先生は、性的連続殺人の犯人はたいてい白人で、吸血鬼の業を連想させる、と書いている。有色人種の日本ではアメリカほど性的連続殺人は発生してないが...。とにかく犯罪者は、幼少時の家庭環境、特に母親の態度が大きく影響しているのは確実のよう。母親という存在も支配しようとする傾向がありますね。

怖いもの読みたさで、一気に読んでしまった。続編も出ているので、いつか読もうと思う。

1990年代のベストセラー。奥付を見たら初刷から1年未満で94刷になっている。すごい売れたんだ。トマス・ハリスは「レッド・ドラゴン」や「羊たちの沈黙」を執筆する際、主著者のレスラーに取材した、とレスラー自身が語っている。