2011-04-04

ギャングの町の、のどかな農場 [NPR]


Original Title: Straight Outta Compton... On Horseback

カリフォルニア州コンプトンは、全米で8番目に危険な町。今年に入ってからすでに500件の暴力事件が起きている。ラップ歌手も「コンプトンから来たんだぜ」とガンをとばしているこの町に、ロサンゼルス近郊で一番大きな農場がある。

農場の歴史は19世紀にまで遡る。農場の所有者だったコンプトン氏が1888年、郡に土地を寄付した。その際、今後ともこの土地は農業用とすること、という条件をつけた。現在は10区画程の広さに個人経営の農場が集まるリッチランド農場となっている。開拓時代を彷彿とさせる農場らしい。ブッシュ大統領親子が住んでいたこともある。

馬に乗って通りを闊歩するカウボーイがいれば、山羊乳から作ったチーズと卵を交換する人たちもいる。あちこちで雄鶏がけたたましく"とき"をあげている。

1940年代頃から、リッチランド農場の住民は白人から中産階級の黒人へと変移した。この10年でまた人口構成が変わりつつあり、ヒスパニックが増加している。メキシコからの移住者がメキシコ流の風習を持ち込んで、古くからの住民との軋轢が起こっている。例えば家畜を放し飼いにしたり、町が禁止している闘鶏を催したり。闘鶏目当ての観光客が外から大勢やって来て通りで騒いだり違法駐車するのも迷惑だ。

市議会はメキシコ人たちの傍若無人ぶりにカンカンだが、住民の中には、世代交代だから仕方ない、と考えている人もいるよう。文化風習は違うかもしれないが、農業に携わっているという共通点が住民を結局は結びつけると考えている。

都市化されても地域に農業が成り立つ余地を残しておくべきではないかと思う。世代交代で変わるものがあっても農業が続いていけば、その土地らしさも失われない。結びつきが強すぎて息苦しいこともあるかもしれないが、住民が結びついていれば暴力犯罪の心配をする必要もないだろうし。