2010-05-08

処刑された祖父の真相 [NPR]


Original Title: My Grandfather's Execution

1945年、ミシシッピ州で、黒人男性が白人女性を強姦した罪で逮捕された事件があった。その黒人男性の孫娘が真実を求めて、当時の関係者を訪ねたリポート。孫娘といってもすでに60代。一家にとってこの事件は永遠に持ち出してはいけないことだった。

伝えられている事件は次の通り。早朝白人の家に入り込んだ犯人は、1階で生後間もない赤ん坊と寝ていた白人女性を脅しレイプした。女性の夫は2階で寝ていた。

1945年当時、黒人が白人の家に入るなど絶対考えられないことだったし、黒人男性と白人女性が面識を持つことは"ありえない"はずだった。だから多くの人たちが冤罪ではないかとして犯人の無罪を訴える運動を行った。

しかし、この黒人男性は1951年に電気椅子で処刑された。使用されたのは旅する電気椅子と呼ばれるもので、当時死刑囚のいる地区の裁判所に持ち込まれて執行に使われていた。この電気椅子は今もミシシッピの矯正院に展示されている。

やったのか、やらなかったのか。本当のところ有罪なのか無罪なのか。孫娘はリポートの終盤検察官の息子を訪ねる。すでに故人の検察官は、執行直前に祖父と言葉をかわした。事件の真相を物語るその言葉は、60年後息子から死刑囚の孫娘に伝えられた。

事実は小説より奇なり。このすべてが小説だとしたら、死刑囚の最後の言葉は人間のドラマのエンディングにふさわしい。

NPRのウェブサイトにこの黒人男性の写真が掲載されている。かなり男前だ。