2011-12-20

目黒警察署物語-佐々警部補パトロール日記- [佐々淳行著]


「伊丹十三の映画」を読んでいたら、伊丹十三氏が熱中して読んだとのことなので読むことに。面白い!

警察庁のキャリア組として採用された著者が、警察学校を修了して最初に配属された目黒警察署での新人警察官としての日々を書いている。実際は1954年10月から1955年1月までの約4ヶ月間なのだが、途中、戦争中の回想が差し挟まれたり、その後の自分の経験も書いているので、戦争末期から高度経済成長期までの東京の姿が浮かび上がってくる。

警察組織の人間模様が正直に描かれている。これは警察だけでなく会社でも役所でも組織に共通するものだと思うが、キャリア組として人の上に立つことが決まっている佐々警部補が良き上司となろうと決意する様子は読んでいてほっとする。それに、実際佐々警部補は担当の外勤3班のよき管理職となって外勤勤務評定で署内最高得点を得る。

自分に対してまずは反感を持つ大勢の人たちを相手に自分の仕事を良い方へ持っていこうとするのは実に骨の折れる仕事だけれど、短期間でそれを成し遂げたのは、やはり佐々氏が優秀な人だからなのか。根本の日本社会を良くしたいという気持ちがあったから部下の人たちの気持ちを動かしたのだと思う。やはり前向きな気持ちでいることは周囲にいい影響を与えるのですね。しかし、自慢がちょっとハナにつくかな。

1955年1月で佐々警部補は外勤からデカ部屋へ転属になる。デカ部屋での続編もあるので読もうと思う。