2011-09-25

アメリカの韓国料理研究家の数奇な人生 [GOOD FOOD]


Original Title: Kimchi Chronicles

韓国料理番組を持っている韓国料理研究家が番組タイトルと同じ本を出版。料理研究家本人も、出自から現在に至るまで本になるような人生を送って来た。

公共テレビ放送局が放送している「 キムチ年代記(Kimchi Chronicles)」というタイトルの料理番組は、色々な韓国料理を紹介して韓国料理の普及に貢献しているよう。ホストの韓国料理研究家は、恐らくまだ30代だと思うけれど、きれいな女性。インド系か、ヒスパニック系のアメリカ人に見える。

本人は実は黒人GIと韓国人女性の間の子として1970年代に韓国で生まれた。彼女が生まれる前に父親は帰国してしまい、つまり母子は取り残されてしまったわけだけれど、1970年代の韓国社会は混血児、特に黒人の血を引く子どもとその生み親に対して全く寛容ではなく、母親は3才まで彼女を育てたが、あまりに経済的に苦しくてこれ以上自分は育てられないと、彼女を養子に出した。

彼女を引き取ったのはアフリカ系アメリカ人の夫婦。以来、彼女は米東岸のバージニア州で育った。養父母は勤勉で善良な人たちだったようで、子どもが大人になった時に自分の実母とめぐり会えるようにと、すべての書類をきちんと保存しておいてくれていた。

そして彼女は大学を卒業した時に、当時ニューヨークに移り住んでいた実母と再会した。それからは実母とよく行き来するようになり、韓国料理に親しむうち、韓国料理研究家となった。

3才からアメリカ人として育ったけれども、彼女は韓国でのことを忘れたことはなかった。再会した実母が、彼女が子どものころ食べていた料理を作ってくれ、それを食べた時に3才までの記憶、匂い、音、景色が鮮やかに甦って来たと言っている。

3才頃の味覚というのは強烈に記憶に残っていて忘れがたいものがある。3才の頃、ねじりパンが大好きだった。今はツイストという名前で売られている揚げパンというかドーナツ。パン屋に置いてあると必ず買うのだけれど、子どもの時に食べたあのおいしさに再会したことがない。