2011-08-12

えてこでもわかる笑い飯哲夫訳般若心経 [笑い飯哲夫著]


おもしろい!下品だけど仏陀の教えをちゃんと説明している。仏陀の教えが何であるか、わかるようになっている。

般若心経が、「空」についてこれでもかこれでもか、というくらい説明していることがわかった。その上で哲夫氏は、全てはつながっていて「全体が液状にドロドロしてて、ただ偶然、ドロドロしてる中のここからここまでの部分が自分となって現れてるだけやねんで」(p.119)、だから他人に善いことをするのは自分に善いことをするのと同じ、それが"慈悲"だと言ってる。

この考えは、マイケル・サンデル教授が説くコミュニタリアンの考えと通じている、と思った。1人の人間はそれ自体で存在するのでなく、歴史的、社会的なつながりのなかで存在しており、その人を取り巻く環境に負っているという考え。

慈悲について"笑い"の観点から考えていることに、はっとさせられた。慈悲深い方がおもろいんだ、と。「居酒屋に入って、「おい、はよこの机拭かんかえ」と、店員に怒るより、「この机拭かせて下さい」と言って自分のハンカチでゴシゴシする方がおもろいんです」(p.140)

たしかに、自分の思う通りに人を動かして得意になっている人の話より、あえて困難に飛び込んでいく人の話の方が面白いし、人が集まるのではないか。

哲夫氏の般若心経の読み解き方には唸らせられる。特に「是故空中無色」の訳し方。空中=in the skyから空=nothing、つまり in nothing と読み替え、さらに in を「の状態で」と訳すことによって、「この宇宙に存在するいっさいの事物や現象には実体がない」に辿り着いている。すごいや。