怖しい映画だ。
イタリア地中海のリゾートを舞台に、富豪の息子を親元に連れ戻すために雇われた男が、息子を殺して財産を乗っ取ろうとする話。
地中海の陽光あふれる開放的な明るい風景と、繰り広げられる犯罪の陰惨さとあやうさが強烈なコントラストとなっている。血しぶきが飛ぶわけではないけれど、余りの怖さに観ていて目を覆いたくなった。
アラン・ドロンが美しい。ファッションは21世紀に観ても全然色褪せていない。ひとつひとつのシーンがファッション誌のグラビアのようにキマっている。
淀川長治氏は、「太陽がいっぱい」には同性愛を示唆する演出が満載だと言っているが、私にはわからなかった。
「リプリー」というタイトルでハリウッドでリメークされた。殺される富豪の息子役をジュード・ロウが演じたが、オリジナルで演じたモーリス・ロネととてもよく似ている。
名画として知っていたがなかなか観る機会がなかった。今回思い切って観に行ったけれど、これまで縁がなかったということは観ない方がいいということだったのかもしれない。あまりの怖しさに鬱がひどくなってしまった。
1960年制作。