2010-10-30

銃・病原菌・鉄(下) [ジャレド・ダイアモンド著]


面白い!これこそが本を読む楽しさ面白さだと思う。

著者は、地球上の各大陸で文明の進展が異なるのは、そこに住む人種の優劣のせいではなく、たまたま食料生産が可能な土地に居合わせた人たちが先にスタートを切ったからに過ぎない、と言っている。

上巻を読んだ時にも思ったが、人類社会のあり方はこの地球に密接に結びついている。地球環境によって人間は生かされ、適応しようとして文明を発展させてきた。地球環境がちょっとでも異なっていたら世界は今と全く違ったものになっていたに違いない。

それから、紀元前と西暦で歴史を考えるのがいかにせせこましいかということも考えさせられた。紀元前は人間の歴史以前、という見方に何となくさせられているが、こうして人類の歩みを振り返ってみると、キリスト誕生はたった2000年前のことだ。キリスト教の価値観は比較的新しい若いものだといえるのではないか。イスラム教はもっと新しいし。それゆえに時代に合っている?

この本を読んで、人類の未来について色々考えさせられるが、強く思ったのは食料生産についておろそかにできない、ということ。食料生産が文明の始まりのきっかけになったということは、食料生産なくして人類社会は成り立たないということではないか。農業政策にもっと真剣に取り組まなければ。

それから、先進国であろうと途上国であろうと、現在"問題"とされていることはすべて、"発展途上"の問題でしかない、という見方を得た。

著者は最後に中国と欧州について比較している。同じような条件でほぼ同時期にスタートを切ったのに、なぜ欧州の方が中国より優位に立つことになったのか。やはり雑多である方が強いということだと思う。

この本を読んで、ニューギニアにすごく行きたくなった。