読んだ本と、映画館で観た映画の記録をつけています。
おもしろかったポッドキャストの記事の紹介も。ポッドキャストは、NPR:Story of the DayとKCRW:GOOD FOODから。
コピー&ペースト等転載はお断りします。
2010-10-31
幽霊レストランとファーマーズマーケットの産地偽装 [GOOD FOOD]
Original Title: Farmers Market Integrity
ファーマーズマーケットにおける偽装表示の問題について取り上げている。
地元産だったら高くても購入する、という消費者心理につけこんで、ファーマーズマーケットで輸入野菜を高値で販売している偽装店が増えているとのこと。
10年前はファーマーズマーケットの出店舗のうち十分の一が偽装していたが、今は約半分が偽装している。
スーパーで売っている輸入物よりは高値だが、純正地元産よりは安値なので、純正地元産を販売している生産者は採算がとれないとファーマーズマーケットから撤退している。そのため偽装店がますます増えている。
いずれにしろ地元農家の生産量が減ってきていることはたしか。ファーマーズマーケットに買いに来る人たちは増えているのに、供給は僅かしかないのだ。
地元産の農作物を消費するのが最良の生活スタイルだと思うが、郊外の農地はどんどん減ってきている。後継者の問題、税金の問題があると思うが、郊外の農地を守らなくては、と切実に思っている。グーグルアースで見ると、農地の部分は美しい模様になっている。
Original Title: Haunted LA Restaurants
ハロウィーンが近いので、お化け話。
ロサンゼルスには意外に幽霊が出るレストランが多いよう。ただ、店のスタッフは知っているけれど、お客にはあまり知られていないらしい。
ここで紹介されているのは、19世紀に農家だった家をレストランにした店。幽霊が二人(?)出る。
一人は、1920年代に農家をレストランに改造した初代オーナーの女性で、食堂や厨房を徘徊している。もう一人は店の2階に出る。2階は農家だった当時をそのまま残していて、寝室になっているのだが、そこに若い女性が出るとのこと。若い女性の幽霊がこの農家とどういう関係なのかは不明。
それから、消防署だった建物を利用しているレストランには、影が動く現象が見られるとのこと。
番組ホストが幽霊レストランについてインタビューしている相手は、ロサンゼルス市内のスターバックスにいて携帯電話かスカイプで話しているとのことだけれど、雑音が入るし音声が途切れるし、変な人の声も背後に聞こえる。幽霊話だから効果を狙ったのだろうか。
2010-10-30
銃・病原菌・鉄(下) [ジャレド・ダイアモンド著]
面白い!これこそが本を読む楽しさ面白さだと思う。
著者は、地球上の各大陸で文明の進展が異なるのは、そこに住む人種の優劣のせいではなく、たまたま食料生産が可能な土地に居合わせた人たちが先にスタートを切ったからに過ぎない、と言っている。
上巻を読んだ時にも思ったが、人類社会のあり方はこの地球に密接に結びついている。地球環境によって人間は生かされ、適応しようとして文明を発展させてきた。地球環境がちょっとでも異なっていたら世界は今と全く違ったものになっていたに違いない。
それから、紀元前と西暦で歴史を考えるのがいかにせせこましいかということも考えさせられた。紀元前は人間の歴史以前、という見方に何となくさせられているが、こうして人類の歩みを振り返ってみると、キリスト誕生はたった2000年前のことだ。キリスト教の価値観は比較的新しい若いものだといえるのではないか。イスラム教はもっと新しいし。それゆえに時代に合っている?
この本を読んで、人類の未来について色々考えさせられるが、強く思ったのは食料生産についておろそかにできない、ということ。食料生産が文明の始まりのきっかけになったということは、食料生産なくして人類社会は成り立たないということではないか。農業政策にもっと真剣に取り組まなければ。
それから、先進国であろうと途上国であろうと、現在"問題"とされていることはすべて、"発展途上"の問題でしかない、という見方を得た。
著者は最後に中国と欧州について比較している。同じような条件でほぼ同時期にスタートを切ったのに、なぜ欧州の方が中国より優位に立つことになったのか。やはり雑多である方が強いということだと思う。
この本を読んで、ニューギニアにすごく行きたくなった。
2010-10-16
雨飾山
北アルプスの雨飾山(あまかざりやま)を、紅葉を楽しみながら登ってきました。
10月15日午後、スーパーあずさで松本へ。割と空いていて、乗客はビジネスマンばかりでした。松本から大糸線に乗り換えて南小谷(みなみおたり)へ。大糸線の乗客は高校生が多かったです。
南小谷ではペンション・フォークテイルに宿泊。山の中なのに夕食は海の幸でした。ここから日本海までは車で1時間とのこと。オーナーによると、晴天なら雨飾山の頂上から日本海の海岸線が見られるそうです。明日の登山ガイドはオーナーが務めてくれます。
翌16日、午前7時前にペンションを車で出発。雨飾山の登山口に着いたのは午前7時40分頃でした。
登山口からしばらくは湿地帯の木道を歩きます。木道脇の水たまりは澄んでいてイワナが泳いでいるのが見えました。
湿地帯が終わるといきなり傾斜40度位の登り。ブナ平と呼ばれる平地で一休み。また登りが続きます。頂上までの行程半分位の所にある荒菅沢(あらすげさわ)でまた一休み。荒菅沢を望む斜面は紅葉の素晴らしい景色でした。沢を流れる渓流の水は飲む事ができます。冷たくておいしかった。
荒菅沢を過ぎると、狭い尾根道で、岩壁にかけられたはしごを上る箇所もあります。登る人下りる人がすれ違うためにお互い待つこともしばしば。
頂上が見えてきた辺りは笹平と呼ばれる平地。群生している熊笹(?)を突っ切るように作られた通り道を歩いていきます。
11時半頃頂上に到着。頂上は狭く、すでに何十人もの人たちが昼食をとっていました。私たちも何とか場所を見つけて昼食。オーナーにもらったインスタントみそ汁のおいしかったこと。
12時半頃下山開始。ガスが出て来て、下りはあまり景色を楽しむことはできませんでした。頂上から日本海を望む事もできなかったのです。
午後4時頃登山口に到着。帰りの列車まで時間があるので、オーナーに露天風呂に連れて行ってもらいました。そこは本当の露天風呂で、屋根もなく、脱衣場には棚があるだけ。洗い場には蛇口がなくてケロリンの桶がいくつかあるだけなのです。しかも入浴料は寸志。
午後5時43分南小谷発の大糸線の終電に乗って、帰宅の途につきました。
2010-10-15
白神こだま酵母のお米パン−ノングルテンでふんわりやわらか− [大塚せつ子著]
2010-10-14
スパイだったスパイ小説家たち [アンソニー・マスターズ著]
スパイだったスパイ小説家について、本人たちのスパイとしての活動が作品にどう反映されているかについて解説している本。
ジョン・バカン、サマセット・モーム、グレアム・グリーン、イアン・フレミング、ジョン・ル・カレ。全員、本人が小説の主人公でもおかしくない興味深い人たちだ。
この本の筆頭を飾るのは、アースキン・チルダースという20世紀初頭の小説家で、恐らくイギリス初のスパイ小説を書いた人。スパイではなかったけれど、作品がイギリス軍の情報機関に影響を与えた。母親がアイルランド人だったので、アイルランド独立運動に加わって処刑された。この人の章を読んで、ドイツのフリージア諸島に行ってみたくなった。
ジョン・バカンはスパイというより、小説家としての成功を買われて情報局の広報担当の上級管理職に就いていた。でもバカン作品の主人公たちは、情報部時代に知り合った軍人がモデルになっているらしい。
サマセット・モームは、本人自身がまるでジョン・ル・カレが描く哀愁のスパイだ。報酬のないスパイとして働いていたが、自分の経験をそのまま作品に書いているらしい。今までモームを文芸作家と思って敬遠していたが、読んでみようと思う。
グレアム・グリーンは、20世紀の有名スパイ、キム・フィルビーの部下だったというのに驚いた。南アフリカのジャングルに駐在していた時から小説を書き始めたとのこと。MI6を辞めた3年後、「第三の男」のシナリオを書いている。ウィーンでシナリオのための取材中に地下水道のことを知り、映画に取り入れたらしい。
イアン・フレミングは、海軍情報部長の専属アシスタントとして奇想天外なアイデアをいくつも出していたとのこと。007シリーズの奇想天外な展開はこの時から作り出されていたのか。1945年に退職し、1952年に「カジノ・ロワイヤル」を刊行した。
ジョン・ル・カレ。この人が一番興味深い人物。実の父親は詐欺師で、父親が死ぬまでその素行に悩まされ続けていた。しかも父親が詐欺師だということを隠すために本当の生活を偽らなければならなかった、というのが生まれながらのスパイ修行になってしまっていたという。全てのル・カレ作品の主人公といえるジョージ・スマイリーは、ル・カレにとっての理想の父親像でもあったのだ。ル・カレはMI5とMI6の両方で働いているので、情報機関について知り抜いているといえるが、その描いている世界はかなり暗い。情報機関の上層部は、実際はこんなに暗くない、と反発しているらしい。
原著は13人のスパイ小説家を取り上げているが、日本語版は日本で作品が刊行されている作家と、ウォーターゲート事件に関わっていた元CIAの作家の7人の章を収録している。
2010-10-06
アラバマ物語[ハーパー・リー著]
心に深く残る作品。
アラバマ州の架空の町を舞台に、第二次世界大戦前のアメリカ南部の町の三年間を描いている。語り手は、弁護士一家の当時6才の娘。学校に上がって社会と接するようになりはじめた女の子の生活と、父親が弁護することになった黒人の暴行事件にまつわる事柄が描かれている。
映画化され、主人公の父親の弁護士をグレゴリー・ペックが演じた。本に映画のスチル写真のページがあり、それを見てからは、父親をグレゴリー・ペックのイメージで読んでいた。グレゴリー・ペックをイメージして作品が書かれたのではないかと思うくらいだ。
人生、社会、人間のあらゆることが描かれている。子どもから少女に変わっていく主人公、少年から男に変わっていく主人公の兄、非難されようとも自分の信念を貫く父親。差別に苦しみながらも生きることを楽しんでいる黒人たち。貧しさと無知によって孤独な生活を送る若い白人女。プライドゆえに孤独な老女。世間のしがらみから逃げている引きこもりの男。農民の生活。南部の白人女性の傲慢さ。
描かれているのは80年近く昔のことになるけれど、アメリカ社会の現在にも当てはまることが多い。だからこの本は発行され続け、読者を引きつけている。
NPRのStory of the dayで、「To kill a mockingbird(物まね鳥を殺すのは)」に関連する記事があったので読むことに。「To kill a mockingbird」が名作だということは知っていたが、本の表紙を見て「あの本だったのか」とちょっと驚いた。日本語版のタイトルは「アラバマ物語」。雑誌「暮しの手帖」の巻末に暮しの手帖社商品の広告が載っているのだけれど、そこに「アラバマ物語」も必ず載っていた。今までずっとこの広告を見ていたのに、それが「To kill a mockingbird」の日本語翻訳だとは全然気づかなかった。
作者のハーパー・リーはこの作品でピューリッツァ賞を受賞したが、他には作品を書いていない。アメリカ南部を舞台にした名作には「風と共に去りぬ」があるが、作者のマーガレット・ミッチェルも、他には作品を書いていない。
2010-10-03
虫を食べる [GOOD FOOD]
Original Title: Critter Fritters
虫を食べている人類学者の話。声からするとまだ30代前半の若い女性。10年前にインターンで行ったメキシコで食べたのが始まりで、それからよく食べるようになったとのこと。
この人が食べているのは、コオロギ、イモムシ、サソリの3種類。コオロギはタンパク質、カルシウム、鉄分が含まれていてまったりした味わい、イモムシは脂肪分が多く、フレンチフライのような食感、サソリは高タンパク質低脂肪でカニのような味とのこと。
世界の人口80%は虫を食べているから、虫を食べない欧米人の方が「妙な人たち」ということになる。たしかに、日本でもハチノコやイナゴを食べている。イナゴの佃煮は脂がのった小海老といった感じでおいしい。韓国でも小さなイモムシを煮たものをよく屋台で売っている。
番組にも自家製虫スナックを持って来たようで、作り方を話している。イモムシはサンディエゴの虫農場から購入している。虫農場は、釣りエサや爬虫類ペットのエサとしてイモムシを生産(?)している。届いたイモムシを冷蔵庫に入れて殺し、それをオーブンに入れて加熱、フライパンに移して塩、砂糖、ワサビパウダーで味付けして出来上がり。
環境を考えると、虫はこれからのタンパク質源になるかもしれない。
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