
登場人物も全員クール。ラストシーンの佇むジョセフ・コットン、冷酷そうで人情がある大佐、職務に忠実で大らかな軍曹、時代に翻弄される美女。
オーソン・ウェルズ、男前だ。二枚目でないけれど、憎めないユーモアと冷たさが共存する魅力的な人物だ。恋人が彼を忘れられないのも無理はない。ふてぶてしさとみっともなさ。
オーソン・ウェルズの顔に明かりが当たるシーン。いつも車のライトが当たって顔が浮かび上がると思い込んでいるのだけれど、窓からの明かりなんだ。このオーストリア人のお節介さもそれまでの話の流れで自然に見える。そういう演出をしているからだ。
1949年制作。戦後すぐのウィーンだからこその怪しげで妖しいストーリーだ。