2010-08-17

銃・病原菌・鉄 (上) [ジャレド・ダイアモンド著]


大変興味深く、面白い、考えさせる本。朝日新聞が選んだゼロ年代の50冊の第1位になった本。

征服する国と侵略される国は、なぜ立場が逆転しなかったのか。なぜアフリカ諸国がヨーロッパ諸国を植民地化するという歴史のシナリオにならなかったのか、その背景を探っている。

今まで著者が提供している観点から歴史を眺めることはなかった。上巻を読んだだけだが、ここで語っているのは歴史の流れではない。地球の環境と人類の行動を結びつけて歴史を考えている。

なぜ人類社会は発展していったのか。この本で言っていることを簡単にまとめることはできないけれど、農業に適した土地に農業に適した動植物が生息していて、農業文化の伝達に適した地形であったことが大きな要因のようだ。

この本を読んで、日本が明治維新で"異国から日本を守った"ことはすごい偉業なんだとわかった。

とても印象に残っているのは、狩猟採集生活は人類が何万年と続けて来た伝統的生活様式だけれど、この数十年のうちにこの生活様式は完全になくなってしまうだろう、ということ。

狩猟採集生活社会の方が穏健で、定着農業生活社会の方が攻撃的だという見方にも驚かされた。たしかに縄文人と弥生人を考えてもあてはまると思う。

下巻を近々読む予定。