重厚な人間ドラマだ。どの俳優もその役柄の人間を描き切っている。
アル・パチーノがいかに素晴らしい俳優であるかわかる。以前、ブエノスアイレスのホテルのテレビでゴッドファーザーを見た。スペイン語に吹き替えられていたけれど、アル・パチーノの演技のすごさがひしひしと伝わってきた。ファミリーから距離を置こうとするシニカルな末っ子から、父親のためにファミリービジネスにのめりこんでいく過程、ファミリーを守るという名目のためにファミリーに対して冷酷に厳格になっていく矛盾。
演出が斬新だ。ゴッドファーザーで用いられた演出法がこの後制作された色々な作品に反映されていると思う。冷酷な出来事と、家庭的な出来事を同時に描いている。特に食べ物の描写が。
II、IIIとも評価が高いけれども、やはりこの一作目が完成度が高いと思う。
それにしても、コルレオーネ・ファミリーのママってどんな人なのでしょうか。父親と子どもたちとの絆はとても密なのだけれど、母親との関係があまり描かれていないし、ママはファミリービジネスをどう捉えていたのだろうか。この人が一番怖い人かもしれない。
1972年制作。