人間と人間社会のドラマだ。
日本兵は思っていたほど悪く描かれていない。早川雪洲、名優だ。冷徹でありながら弱さ、人間臭さを表現している。
アレック・ギネス、すごい!隊長としての威厳、部下が慕うのも無理はないと納得できる人間的魅力が十分に感じられる。それは本人に威厳と深い人間性がなければ表現できないものだと思う。それから、演技に対するこだわり。灼熱の独房から1ヶ月(?)ぶりに出て来た時の衰弱ぶり。この人がオビ・ワンなのか。
それにしても過酷なジャングルだ。工作部隊がカンチャナブリに向かう途中、日本兵に遭遇して撃退するのだけれど、こんな風にジャングルで人知れず死んで行った人たちがどれだけいることか。
ストーリーは3部構成になっていると思う。命を賭して信念を貫くイギリス人気質を描く第1部、橋の建設という目標と生きがいを求める第2部、そして橋の破壊を図る第3部。
1957年制作。最近の戦争映画ほどグロテスクでも生々しい恐怖を描いているわけでもないが、戦争が終わってやっと10年経ったところで、制作に関わった人たちには、戦争に対する様々な思いがあったのではないかと思う。