2010-08-02

第四の扉 [ポール・アルテ著]

ポール・アルテの代表シリーズ、ツイスト博士シリーズの第一作。怪奇ムード漂う推理小説。

この作品も「赤い霧」のように2部構成になっている。第1部は過去の殺人事件を回想しつつ真犯人を推理するのか、という流れ。ところが第2部に入ると第1部が見かけ通りの話でないことがわかる。けれども第2部の終盤に第1部の話はやはり見かけ通りの出来事であると判明し、さらにどんでん返しで真犯人が示唆される。

第1部は戦後のイギリスの村を舞台にしている。幽霊屋敷、降霊会、屋根裏の変死体。古き良きイギリスの田舎に住む中流階級の暮しを楽しむこともできる。第2部も20世紀半ばのイギリスが舞台だ。

本格ミステリ華やかなりし頃の推理小説家はみな他界してしまったが、ポール・アルテによって本格ミステリの新作をまた楽しめるのはうれしい。ポール・アルテはフランス人だけれど、本格ミステリの舞台はやはりイギリスでなければ、ですね。他の作品も読んでいこうと思う。