2011-07-16

フレンチ・コネクション [ウィリアム・フリードキン監督]


深い刑事ドラマだ。

フランスの麻薬組織がニューヨークへ密輸したコカインを巡って、ジーン・ハックマン演じるニューヨーク市警察の刑事とフェルナンド・レイ演じる麻薬組織のボスとの攻防を描いている。尾行、張り込み、カーチェイス、独断専行の主人公と調和型の相棒、官僚的な捜査官。「フレンチ・コネクション」は刑事ドラマの演出の教科書になったのではないかと思う。

イタリア移民の売人、フランス人実業家、アメリカ人刑事と国際色溢れるキャラクターたちなのだけれど、フランス人実業家が絡んでいるから作品に洗練されたものが加わっているのではないか、と思うのは偏見? フェルナンド・レイが高級レストランで食事している間、向かい側の歩道で刑事たちがファーストフードをほおばりながら張り込みを続けるシーンは有名。

今の時代に麻薬組織と警察の攻防を描くとしたら、麻薬組織は南米人やアジア人で構成されていて、もっと泥臭い人間の欲望剥き出しのドラマになると思う。「フレンチ・コネクション」では犯罪者の方が刑事よりいい生活をしている皮肉が映画を面白くさせている。

捜査が進むにつれて偏執的になっていく主人公は、ラストの銃撃戦で取り返しのつかないミスを犯す。そして組織のボスを追ってドアの向こうに主人公が去っていった後、一発の銃声が響き渡り、映画は終わる。

1971年製作。