2011-07-02

華麗なる賭け [ノーマン・ジュイソン監督]


これはオトナのラブストーリーだったんだ。

銀行強盗を計画して自分が雇ったチームに実行させ成功を収めた大富豪。盗まれた金を取り戻すべく調査を開始した保険調査員の女性は、真相を告白させて金を取り戻すために大富豪に近付くが本気で恋をしてしまう。そして大富豪の方も保険調査員の女性に興味をそそられて付き合ううちに気持ちが動き始める。

大富豪の恋だから何かとお膳立てが豪華。砂浜をバギーカーで走ったり、高級レストランで食事、豪邸でのチェス。フェィ・ダナウェイ演じる保険調査員はフリーランスでかなり稼いでいるのか、衣装が豪華だ。ミニスカートに白っぽいストッキング、というのは60年代ぽい。

大富豪はもう一度銀行強盗を計画、実行に移す。それを保険調査員の女性に知らせて、恋を取るか仕事を取るか、選択を委ねる。恋か仕事か、当時の働く女性の究極の選択だ。この究極の選択を描くために、こんな豪華でスリリングな舞台を設定したのだろうか。

豪邸でのチェスのシーンがロマンチック。しかし、駒を動かすスティーブ・マックィーンの爪先はちょっと汚れていた。これは叩き上げの成功者という意味なのか、演出のツメが甘かったのか。

この映画のフエィ・ダナウェイも素敵だけれど、どうしても「チャイナタウン」が思い出される。ジャック・ニコルソンに頬を叩かれて「娘よ、妹よ、娘よ....」と繰り返すシーン。フェイ・ダナウェイは、働く強い女性のイメージを最初にハリウッドにもたらしたと思う。

1968年制作。漫画のようにコマ割されたシーンが多用されていて実験映画の雰囲気がある。原題の"The Thomas Crown Affair"のAffairは、トーマス・クラウンの恋と事件をかけているのか。今わかった。