2011-02-09

アラバマの悪人正機 [NPR]


Original Title: At End-Of-The Line Prison, An Unlikely Escape

アラバマ州の重犯罪刑務所で、ヴィパッサーナという瞑想を取り入れたことで、受刑者が精神的に落ち着き、罪と真摯に向き合うようになったという話。ヴィパッサーナとは「物事をありのままに見る」という意味。

瞑想療法は10年程前から取り入れられた。厳格な菜食、タバコやコーヒーの摂取禁止、会話禁止。所内のジムで数時間座禅を組み、内なる自己と向き合う。

瞑想の指導者は、受刑者の心はパンドラの匣のようなものだと言う。悲惨な子ども時代、犯罪を重ねてきた中で積み重ねてきた負の感情。最初は自分に向き合うことに耐え難く叫び出す者もいるとのこと。でも瞑想を続けることで自分自身の恐れを知り、自分自身と正面切って向き合うことで精神的に落ち着いてくる。

麻薬絡みの殺人で終身刑の61才の受刑者は、他の受刑者を助け、自分ができる限りのより良い人生をこの終の棲家で送りたいと言っている。

ヴィパッサーナは仏教の教えから来ている瞑想療法であるため、キリスト教的価値観が損なわれるのではないかと刑務所の教戒師は懸念していたが、受刑者の更正に劇的な効果を上げているので、女子刑務所でも取り入れようという動きがあるとのこと。

最近新約聖書を完読したのだけれど、詩篇を読むとこの宗教は"ひねもす虐げられている"人々のための救いのようだ。”わたしたち"を虐げている人たちに神は思い知らせてくれるという希望を与えているように読める。受刑者は潜在的に自分を"しえたげられている"とみなしているのではないだろうか。

仏教は神との対峙というより、自分との対峙だ。自分と正面切って向き合うことほど難しいことはない。しかしそれが解脱への一歩になるわけで、私も修行中の身といえます。

キリスト教色が強い米国南部で東洋の瞑想が刑務所で生きているというこの不思議な世界が映画になったとのこと。タイトルは「East Meets West in the Deep South (最南部で東洋が西洋と出会う)」

まさに、善人なおもて往生す、いわんや悪人をや、ですね。