読んだ本と、映画館で観た映画の記録をつけています。
おもしろかったポッドキャストの記事の紹介も。ポッドキャストは、NPR:Story of the DayとKCRW:GOOD FOODから。
コピー&ペースト等転載はお断りします。
2011-02-20
デコポン、カリフォルニアにデビュー [GOOD FOOD]
Original Title: Citrus Intrigue
2011年からカリフォルニアでデコポンが販売されるようになった。ロサンゼルスタイムズにコラムを持つ果実愛好家がデコポン販売までの道のりを紹介している。
デコポンは清見オレンジとポンカンの交配種で1972年に長崎で初めて収穫された。1990年代頃から日本の市場に出回り始め、一時は1個1000円近くした高級果物。今では韓国、ブラジル、中国でも栽培されている。
この高級果物をアメリカでも栽培販売したいところなのだが、デコポンに付着する菌がカリフォルニアオレンジに害するので輸入禁止されている。これまで何回か苗木の密輸が試みられたものの当局によってすべて焼却されている。日本の宗教関連の農業カルトが密輸したこともあるらしい。
しかし正式に輸入された苗木もある。1998年にカリフォルニアの著名な果樹園スターク家が輸入した苗木は、柑橘類保護プログラムによって菌を除去したもので、カリフォルニアで唯一栽培可能な苗木だった。
しかしスターク家はその後破産。正式なデコポンの苗木はカルフォルニアから姿を消してしまう。この果実愛好家が執拗にデコポンを追い求めていたところ、ある日ある栽培家から電話がかかってくる。まるでサスペンス映画のように「君がデコポンを見つけたとは困ったことになったね」と。それが2009年のこと。
スターク家のデコポンは秘かにある果実販売会社に引き取られていて、極秘に栽培販売計画が進行していた。とにかく売り出せば需要が高い高級果物なのでライバル会社に絶対知られてはならない企業秘密だった。そして今年2011年、カリフォルニアで初めてデコポンが収穫され市場で販売されるようになった。
ところでカリフォルニアではデコポンは「スモー」という名前で売られている。デコポンという響きがアニメのキャラクターみたいだからとか。どっしりした外観と日本原産ということでスモー(相撲)という名前になったとのこと。
レポートしているこの果実愛好家はこれまでに1000種以上の柑橘類を賞味してきたが、デコポンは最高!天上の果実だ、とまで言っている。TPPで日本の農業が衰退するのではとの懸念があるが、高級果物には活路があるのではないか。