2010-12-18

北北西に進路を取れ [アルフレッド・ヒッチコック監督]


ヒッチコックスタイル満載の教科書のような映画。

ケーリー・グラントがダンディでコミカルで素敵だ。事件に巻き込まれながら飄々と事態に身を任せている。

この映画でケーリー・グラントが巻き込まれたのは国際スパイ事件のようなのだけれど、相手組織も、もちろんアメリカ側の組織についても何一つ明らかにされていない。さらに、ジェームス・メイスンが演じる敵役がどんな情報を持ち出そうとしているのかも。主役と観客は背景の事情を何一つ知らされないままどんどん渦中に突入していく。

これはサスペンスとアクションと展開を楽しむための映画だと思う。最近はあっと驚くどんでん返しというプロットのために、映画の序盤にいろいろ情報が詰め込まれている気がする。消化しきれないうちに映画は進むけど、結局背景事情がなくても観客が楽しんでいるのはサスペンスとアクションと展開なのだ。

背景事情抜きで観客を楽しませ、時代が変わっても何十年も楽しめる映画をつくったヒッチコックは、すごい!!!