2010-04-05

四大文明 メソポタミア [松本健編著 NHKスペシャル「四大文明」プロジェクト編著]


巻頭に遺跡や遺物の写真が多数掲載されていて、メソポタミア文明の想像力の素晴らしさに惹き付けられた。

メソポタミア文明を知り、何はなくとも水があれば人間は豊かな生活を生み出すのではないかと思った。水がどれだけ重要な資源であるか。チグリス・ユーフラテス川流域は、川がもたらす水源の他には何の天然資源もなかったが、人々は農耕と牧畜を発明し、生活を豊かにして当時の最先端の文明を築いた。日本だって天然地下資源はないけれど水は豊富にあった。

各章をその分野の研究者が担当して書いているのだけれど、読み物というより論文を初心者向けに書き直したような文章で、なかなか読み進めることができなかった。巻末の遺跡ガイドは旅心をくすぐる。これらの遺跡を観光できるのはいつになるか。

この本は2000年発行だが、NHK取材班の紀行文には、湾岸戦争でイラク国内にあるメソポタミア遺跡が危機に瀕していることを伝えている。この1年後に9.11がありイラク戦争が始まったことを知っている上で読むと、遺跡の状態に不安が募る。

アンコール遺跡も今は大勢の観光客が訪れている。そのうち行けるようになると思う。平和ならイラクもこれらの遺跡を観光資源に外貨を稼ぐことができるのに。