2009-04-22

ぐうたら社会学 [遠藤周作著]


重い本を読んでいたので、軽いものを。

1960年代から1970年代にかけて、東京新聞、主婦と生活、サンケイ新聞などに連載されたものを集めたエッセイ集。

主婦と生活に連載していたエッセイのテーマは「女性の悪口」だったらしい。主婦の話題は亭主と子どものことばかり、亭主が部長や東大卒(!)なら自分も同じだと考えているのは滑稽だ、と言っている。女性のその系譜は継承され続けていますよ。

サンケイ新聞に連載されていた「酔談」というタイトルのエッセイ・シリーズは、解説の方も書いているけれど、遠藤周作氏の小説家の重みとエッセイ家としての軽さがあいまった深みのあるエッセイになっている。

人と人とのつながりを持とうという意志の表れとしての笑いは、これから自分たちに必要だと言っている。イトイさんも同じようなことを言ってた。それと、宗教っていうのは、それぞれみんな違う女性を奥さんにして幸せに暮らしているのと同じで、状況によって違う宗教を持っていいと。敬虔で素直な気持ちがあれば。

あとなるほど、って思ったのは文化は形式、約束事で、約束事を知っているのが人間生活を送っていく知恵だということ。

そういえば遠藤周作氏は慶応卒でした。でも慶応に入るまで15回は試験に落ちたから要領のわるい学生に寄り添う気持ちを持っている。試験は一面であって、全てを否定されるべきでない、と励ましている。遠藤先生は信じていいと思います。