ユッセラーは
安全の保障を、民間軍事会社の経営上の打算と利潤の追求に任せてよいものかと問いかけている。
この本を読んで、1970年代には同じくらい貧しく衛生状態が悪かったアジアとアフリカなのに、なぜアジアの方が経済も衛生も改善されてきて、アフリカはさらに悪化していったのかについてヒントを得た。
アフリカは多民族すぎるとか、国境が現状と一致していないとかもあるのでしょうが、希少で高価な地下資源があるからなのですね。そこに冷戦が終結して、民間軍事会社に活動の場を与えてしまい、状況がどんどん悪くなっていった。
「貧しき者、汝は幸いなり」
この本で「日本」が言及されているのは5箇所。
ブラックウォーター社の総売上高の80~90%は、日本、アゼルバイジャンを含む各国政府からの業務委託で、残りが民間企業からの仕事になっている。(p.93)
[---社会の合法部分が組織犯罪に浸食される割合は---]例えばスカンジナビア諸国では非常に低いのに対して、他の先進工業国ではその割合が次第に増大しているし(日本やイタリアなどが先頭を切っている)(p.156)
南アフリカ人、ネパール人、イタリア人、日本人、ベルギー人などの「新しいタイプの傭兵」が反政府勢力に捕えられ人質にされるような場合、それぞれの国はジレンマに陥ることになる。(p.193)
アメリカ、カリフォルニアの民間軍事会社パシフィック・アーキテクツ&エンジニアーズ(PA&E)社は、この地域に同時にふたつの子会社をおいて--ひとつは日本、もうひとつはシンガポール--アジア全域にわたり業務を展開している。(p.212)
その取引先は、[---中略---]、日本と多方面に及び、はっきり分かっている提携会社のなかには、[---中略---]、新日本製鉄[---中略---]が含まれている。(p.212)
民間軍事会社はつまり暴力団と同じじゃない?弱きを挫き、政治家とツルむところなども。
フレデリック・フォーサイスがエグゼキューティヴ・アウトカムズ社のオーナー・グループのオーナーの一人であるとの記述に軽いショック。
ユッセラーはP.W.シンガー著「戦争請負会社」にかなり言及している。この分野に関する本は今後も読むつもり。