読んだ本と、映画館で観た映画の記録をつけています。
おもしろかったポッドキャストの記事の紹介も。ポッドキャストは、NPR:Story of the DayとKCRW:GOOD FOODから。
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2011-04-19
英語表現の源「ジェイムズ王欽定訳聖書」 [NPR]
Original Title: Hallelujah! At Age 400, King James Bible Still Reigns
ジェイムズ王欽定訳聖書が発行されて今年で400年。ジェイムズ王版がつくられた背景と、発行以来どれだけ英語に影響を与えているかについての話。
ジェイムズ王はスコットランド出身のイングランド王だったため、イギリス国教会の長としての自分の権威を正当化する必要があった。そこで王は自分版の聖書を新たに作ることにした。
当時、英語聖書には、ビショップ版とジェノヴァ版の2種類があった。ビショップ版は教会で使われていたが古臭く野暮ったい表現が多かった。ジェノヴァ版は清教徒や一般市民に読まれており、力強い内容で手に入れやすかったが注釈が多かった。注釈は国王を揶揄しているようにも読めたので、国王側は何とかして聖書から注釈をなくしたいと考えた。
そこで国王はビショップ版を使う国教会の主教たちとジェノヴァ版を使う清教徒たちを集めて、新しい英語版の制作に当たらせた。47人の学者と神学者が7年かけて聖書の一行一行を訳していった。
英語聖書は今ではいくつかの版があり、ジェイムズ王欽定訳聖書はあまり読まれていないようなのだが、欽定訳から演説、歌詞、小説に数多くの表現が引用されており、ジェイムズ王欽定訳聖書は英語表現の基礎とも言われている。
たとえば、「目の中に入れても痛くないほどかわいい」の英語表現「瞳の中のリンゴ」とか、「地の塩」、「両刃の刃」、「雪のように真っ白」、「剣に生き剣に死ぬ」、「禁断の果実」などなど、日常会話で使われる多くの表現が欽定訳聖書に依拠している。
「白鯨」にも聖書からの引用が数え切れないほどあった。それは信仰心からというより、聖書から英語文学が始まったので作者にとってぴったりの表現が聖書に詰まっているからなのかもしれない。シェイクスピアからの引用と同じ感覚なのかも。