2011-01-11

ホロコーストを現在形で語る「ショアー」 [NPR]


Original Title: 'Shoah': 25 Years On, Always In The Present Tense

ナチスのユダヤ人収容所についての証言をまとめた9時間半の映画「ショアー」が公開されてから25年。監督と証言者、映画批評家があらためてショアーについて語っている。ショアーはヘブライ語で破壊や大惨事を表す言葉。

制作に10年以上を費やしたこの映画は、収容所を生き延びた人たちの証言で成り立っている。当時のニュース映像などは一切使われていないらしい。

ランツマン監督は独自の手法を使って証言者にインタビューしている。収容所で犠牲者たちの髪を切っていた証言者に理容院でインタビューするとか、収容所で置かれていた状況と似た状況に証言者たちを置き、容赦なく収容所であった出来事について問いつめていく。

実は証言者と監督は通訳を通じて会話している。監督の質問がありのまま証言者に伝えられているのか、証言者の言葉もありのまま伝えられているのか、という懸念もある。

しかし、ここで表現されているのは言葉によるものではない。証言者の沈黙、言い淀み、表情が、観客にホロコーストは現在形だと訴えているのだ、と言う映画研究者もいる。

ランツマン監督はこの記事の時点で85才。絶対"私"とは言わず"我々"と言っている証言者たちは犠牲になったユダヤ人たちの死のスポークスマンなのだ、と言っている。

「沈黙に真実がある」というのは真理ですね。それにしても9時間半は長い。ダイジェスト版を見たことがあるが、無音の時間の長さに緊張が弛んでしまった。

写真は、私が撮ったカンボジアのトゥールスレン収容所跡。ここでは、カンボジア人が同じカンボジア人を虐殺した。