音楽と街が素晴らしい。もちろん俳優も素晴らしい。
チェコの街が、当時のウィーンをよく演じている。1984年制作。当時はまだ冷戦中だったけれど、今振り返るとすでに終わりが始まっていたのがわかる。でなければ、東側の国の首都でアメリカ映画の製作に協力するはずがなかったろうから。
オペラのシーンがとりわけ印象に残る。オペラ歌手役の俳優と実際に歌っている歌手のダブルキャストだった。貴族向けのオペラと庶民向けのオペラでは、舞台装置が異なるし、観客の衣装と化粧も異なっている。画面に現れているすべてが凝っている。
モーツァルトの生活はもちろん脚色されているだろうし、サリエリとの関わりがどうだったのかはわからない。でも、天才ミュージシャンの生活って古今を問わないようだ。それともピータ・シェーファーが、現代のミュージシャンから着想を得てモーツァルトをこのように描いたのか。
ディレクターズカット版で長いが、モーツァルトの音楽を楽しめる。見る度に、ラストのモーツァルトのお葬式にはショックを受ける。