白洲家所有の器に白洲夫妻の長女である著者が作った料理を盛り付け、白洲家所有の民芸布をテーブルクロスにして撮影した写真集。器と布の由来、料理の調理方法が簡単に記されている。
器は江戸中期の伊万里、フランス絵付け大皿、魯山人作鉢、福森雅武作土鍋など。民芸布は、刺し子、インド更紗、中近東の刺繍布など。
料理は著者が両親のために作っていたもの。その料理にまつわる両親の思い出も語っている。
参鶏湯やフカヒレ、松茸は別にしても、どこの家でも使っている材料と調理器具で作れるおかずが多いのは意外だった。茄子と赤ピーマン、白和え、薩摩汁、野菜スープなど。ダッチオーブンで作るパエリヤはおいしそう。
武相荘も道具類も、白洲夫妻が使っていたものは、素朴に見えて手が込んでいる逸品ばかりだ。ここにも千利休からの流れが見える。
それにしても、白洲次郎が豆腐を食べなかった「とても人様には言えない理由」とは何なのだろう?