メソポタミア、インダス、黄河といった古代文明の真の発祥地はチベットではないかという説を唱えている本。古代文明発祥地がチベットを囲むように位置しており、それぞれの河川がチベットを源流としていることからチベット起源説を思いついたらしい。
「山海経」という本からの引用が多い。これによると頭が牛で体が人間の神や首が人間で体が蛇の神が農業の技術を伝え、社会基盤を整備したとされている。グラハム・ハンコックも著書(「神々の指紋」「創世の守護神」)の中で、異形の神が人間に農業を伝えたという伝説が世界各地にあると書いている。ハンコックの言い分ではその文化の中心はエジプトになる。氷河期が終わって氷が溶けだした大洪水の時期はチベットのような高山にしか動物が生息できる土地はなかったろうと思う。
荒唐無稽ではあるけれどそれなりの根拠を一貫して示してくれたら面白く読めたと思う。しかし著者の論理の焦点が定まっていないし、重複して記述していることも多い。文献を根拠に論理を進めているかと思うと、著者のチベット旅行の体験談があったり。「・・・といわれているから、あるいは・・・と考えられなくもない」といったように推定から推定している。ほとんど読み飛ばして何とか最後のページまで辿り着いた。