手近な材料で作れるタイ料理のレシピがいくつも載っている。日本で代替できる調味料についても記載されているので、タイ料理をふだんのおかずとして作れそうだ。
戦後すぐタイに嫁いだ女性と、食についての研究者がこの本の著者。対談で、食糧難の日本から嫁いだらタイの市場は野菜が豊富で10年くらい帰りたくなかったと言っている。たしかに今でもタイの市場は野菜の種類が豊富。どんな料理に使うのだろうと思っていた野菜を使ったレシピが載っていて、この本でタイ料理についていろいろ知ることができた。
1990年代半ばまで魔都というイメージがあったけれど、ヌアラナントさんの話を読むとタイは昔からずっと人情のあるゆたかなところだったようだ。ヌアラナントさんがタイのエリート一族に嫁いだからかもしれないが。安武先生は、ベトナム戦争を境にジャングルを切り開いたためタイの本当のゆたかさは失われたと言っている。
タイは人情と異国情緒にあふれた、気持ちが明るくなるところだと思っているのだが、去年から続く反政府暴動の報道に接すると信じられない思いだ。観光やショッピングで歩いた中心地は戦車で封鎖され、タイヤが焼かれている。すでに外国人記者を含む50人近くが死亡している。