2009-09-01

加速する高速列車ネットワークの実現 [NPR]


Original Title: States Make Pitches For High-Speed-Rail Money

オバマ大統領が高速列車事業の推進を表明したことで、ついに米国でも高速列車ネットワークが交通の表舞台に登場することになるかも。すでに40州と首都ワシントンの行政府が合わせて100億円の予算を要求している。

ここでいう高速列車は時速100マイル(約160キロ)で走る列車のこと。今アムトラックの速度は時速80マイル程度だが、1930年代には大陸間を走る列車は時速120マイルだった。ある意味、時代が逆行しているともいえる。

ヨーロッパや日本では都市間の鉄道網が発達しているが、1950年代にアイゼンハワーが高速”道路”網の建設を推進したため、米国における鉄道は脇へ押しやられてしまった。それからは、飛行機と自動車が交通手段を独占してきた。

オバマが表明する高速列車ネットワークに行政や鉄道関係者は多いに期待を寄せているが、「米国は所詮車社会だから、予算の無駄だ」という人もいる。しかし空港でインタビューした市民の中には「乗り降りに時間のかかる飛行機より、列車の方がいいに決まってる」と高速列車に期待している人も多い。

GMやフォードが倒産(?)して、米国における自動車産業の圧力はかなり弱ってきていると思う。それにイラク戦争で原油がどんどん値上がりして、飛行機も経費のかかる交通手段となってしまった。環境意識の高まりもあるし、二酸化炭素の排出がずっと少ない列車が注目されるのもむべなるかな。

高速列車の建設で雇用や経済が活性化されるのではないかという期待もあって、今後米国における高速列車事業はますます注目されると思う。日本にも技術協力でビジネスチャンスが巡ってくるかもしれない。

2001年末、カリフォルニアからマサチューセッツまで列車とバスで旅した。座席は広々として居心地よいし、眠っている間に次の町に着くし、列車は安くて安全な移動手段だ。その時、路線がもっとあればもっと便利に旅ができるのに、と思ったことがある。