読んだ本と、映画館で観た映画の記録をつけています。
おもしろかったポッドキャストの記事の紹介も。ポッドキャストは、NPR:Story of the DayとKCRW:GOOD FOODから。
コピー&ペースト等転載はお断りします。
2009-09-28
蜘蛛の糸で織ったタペストリー [NPR]
Original Title: Spider Wranglers Weave One-Of-A-Kind Tapestry
ニューヨークの自然史博物館で蜘蛛の糸でできた"絹"で織ったタペストリーが展示されている。
蜘蛛の糸で織物をつくる試みは昔もあったようで、1900年にフランスで作られたことがあったが、その織物は今は行方知れず。こうした試みがあったと知った人が、資料を集め、チームを作って蜘蛛絹で織物をつくることにした。
"絹"をつくる蜘蛛はマダガスカルの蜘蛛。朝4時に80人の採集者が森に蜘蛛を捕まえにいき、午前中には蜘蛛の体から注意深く糸を引き出す。糸を提供(?)した蜘蛛は午後にはまた森に返されるとのこと。撚った糸は強くてギターの弦のような音がするらしい。50万ドルの費用と、100万匹以上の蜘蛛が使われ、4年の歳月をかけて作り上げられた。
写真はNPRのサイトから持ってきてしまったもの。お伽話に出てくる魔法の黄金の織物のようではありませんか。
2009-09-24
アメリカ海軍兵が虐待を証言 [NPR]
Original Title: U.S. Navy Sailors Say They Were Hazed, Abused
バーレーンの軍事犬訓練所で、上官による若い兵士(男女とも)への性的虐待があり、被害にあった兵士は自殺したり、PTSDで苦しんでいる。
本国から遠く離れた閉ざされた世界で、生殺与奪権をちらつかせられたら、若い兵士は抗うことができない。ある兵士が告発したので事実関係について調査が始まったが、加害者である上官に対するお咎めはなく、それどころか調査は中断され上官は昇進した。
この事件を取材しているのは、Youth Radio。Youth Radioは14~24才の若者向けに、マルチメディア関連の人材を育てることを目的としている。公立学校や更正施設などで、ジャーナリズムの職業訓練などもしているよう。
Youth Radioは上官にも取材しようとしているが、相手からは何の応答もない。しかし、Youth Radioのレポートが放送されて、軍上層部がさらなる調査を命じた。戦争は狂気を引き出す。しかし、戦地でなくても閉ざされた空間(会社や学校、家庭)で、他者の上位に立つ地位にあるというだけで、下位の人たちの人権を侵害している例は多い。腕力で上位にあるというだけで、力の弱い人を侵害することも。
2009-09-21
アリアドネの糸 [キャロル・クレモー著]
2009-09-17
フリーメーソンはそんなに秘密じゃない [NPR]
Original Title: Secret Of The Masons: It's Not So Secret
ダン・ブラウンの新作「Lost Symbol」が売り出されて、フリーメーソンが注目されているらしい。NPRのキャスターがワシントンDCにあるフリーメーソンの建物を訪れている。
入会の儀式で、骸骨の杯からワインを飲むのは本当らしいが、フリーメーソンはそれほど謎めいた組織ではない、とこの番組は伝えている。
宗教的団体のような印象があるが、実際は特定の宗教を信奉しているわけではないとのこと。18世紀にフリーメーソンは、この世には神がいてその神は人に善い行いをさせようとしている、という考えが基盤にあれば、どんな宗教であれ詮索しないと決めた。しかしこれまで、フリーメーソンはバチカンやナチの攻撃の的になってきたとのこと。
限られたメンバーの閉ざされた会なのかと思っていたが、全米で140万人の会員がいるらしい。会員は自分がフリーメーソンだとおおっぴらに言わないのは、秘密にしているのが楽しいからなのかもしれない。
世界をどうこうしようという野望はない、とインタビューを受けているフリーメーソンの作家は言っている。そうなのか?グラハム・ハンコックとロバート・ボーヴァルの「タリズマン」によると、フリーメーソンは、エルサレムの地にソロモンの神殿を再建することを目指しているという。だから、アメリカはイスラエルを擁護しているのだと。
ダン・ブラウンの新作、楽しみです。
2009-09-16
山が楽しくなる地形と地学 山、それ自体がおもしろい![広島三朗著]
広島先生の本。
日本列島の成り立ちから、山の土壌、温泉の仕組みなど、地理学に基づいた山についての本。
日本列島は、プレートの上にのっていた陸地やサンゴ礁の残滓(?)が大陸にくっついて出来上がったのだとのこと。それで、大陸の端に沿うような形をしているのか。それから、温泉には、6500万年前に沈み込んだ火山岩の熱で温められた地下水が湧きだしたものもあるとのこと。5,6万年前の氷河が残した地形を、現在山で確認することができることも教えてくれている。
エジプト文明に比べれば、日本は歴史の浅い国だなぁ、と思っていたけれど、こうして知ると6500万年前の熱で暖まったり、5万年前にできた地形の上を歩いたり、日本にも太古からの時間が流れているではありませんか。しかも、南アルプスは今でも1年に5ミリ位隆起し続けているというから、地球が生きているのも実感できる!
本当に人間が誕生したのは地球時間でみたらつい最近なのですね。新参者として謙虚に生きなければと思う。
高校で広島先生の地理を受けた。K2から戻ってきたばかりで、ヒマラヤで撮ったスライドを見せてくれた。「関東は洪積世台地だから坂が多い」と授業で言ってたのを覚えている。家も近くて、犬の散歩中に会ったら私のことを覚えてくれていた。担任でもなく、1年しか授業を受けなかったのに。
1997年カラコルムで亡くなられたが、今でも広島先生の本が売られているのは感慨深い。パタゴニア行きに備えて山歩きを始めたので、山関係の本を立ち読みしていてみつけた。この本を読んで、日本の山も登ってみようと思う。
2009-09-14
米海兵隊でゲームによる死者 [NPR]
2009-09-13
ハヤブサ、ブドウ園を守る [NPR]
2009-09-09
「うすのろ」は辞書に残すべきか? [NPR]
Original Title: Rethinking 'Retarded': Should It Leave The Lexicon?
ダウン症の娘を持つ男性が、「うすのろ」(retard)という悪態を使うのは止めよう、という活動を始めた。ある日その言葉を使う自分に気づいて愕然としたのがきっかけ。
ゲイのコラムニストは自分はもう「リタード(retard)は使わない、代わりにリォタード(leotard)と言う」と宣言した。ゲイとうすのろは落書きによく使われているらしい。ゲイとしていやがらせを受けることがあるから、人がいやがることはしないというわけ。
日本でも「ター坊」のキャラクターが知的障害者を侮辱しているということで取りやめになった。言葉は辞書に残してもいいと思うが、不快感を与える言葉は「うすのろ」ばかりでなく、何でも発してはいけないと思う。例えば、最近はあまりこんな言葉を言う人はいないけれど、「女の腐ったような」というのは、受け入れられないんじゃない?あと「バカチョン」も使われなくなった。
「トーキングウィズ松尾堂」で須藤元気が、肯定的な言葉だけを使っていれば世の中はもっと良くなる、と言っていたが、前向きな精神になるには、前向きな言葉を使うのが近道なのは確か。それに、前向きな精神は物事をよくする。経済学にも、期待値が大きければ見返りが大きくなるという公式があるのだから。
2009-09-01
加速する高速列車ネットワークの実現 [NPR]
Original Title: States Make Pitches For High-Speed-Rail Money
オバマ大統領が高速列車事業の推進を表明したことで、ついに米国でも高速列車ネットワークが交通の表舞台に登場することになるかも。すでに40州と首都ワシントンの行政府が合わせて100億円の予算を要求している。
ここでいう高速列車は時速100マイル(約160キロ)で走る列車のこと。今アムトラックの速度は時速80マイル程度だが、1930年代には大陸間を走る列車は時速120マイルだった。ある意味、時代が逆行しているともいえる。
ヨーロッパや日本では都市間の鉄道網が発達しているが、1950年代にアイゼンハワーが高速”道路”網の建設を推進したため、米国における鉄道は脇へ押しやられてしまった。それからは、飛行機と自動車が交通手段を独占してきた。
オバマが表明する高速列車ネットワークに行政や鉄道関係者は多いに期待を寄せているが、「米国は所詮車社会だから、予算の無駄だ」という人もいる。しかし空港でインタビューした市民の中には「乗り降りに時間のかかる飛行機より、列車の方がいいに決まってる」と高速列車に期待している人も多い。
GMやフォードが倒産(?)して、米国における自動車産業の圧力はかなり弱ってきていると思う。それにイラク戦争で原油がどんどん値上がりして、飛行機も経費のかかる交通手段となってしまった。環境意識の高まりもあるし、二酸化炭素の排出がずっと少ない列車が注目されるのもむべなるかな。
高速列車の建設で雇用や経済が活性化されるのではないかという期待もあって、今後米国における高速列車事業はますます注目されると思う。日本にも技術協力でビジネスチャンスが巡ってくるかもしれない。
2001年末、カリフォルニアからマサチューセッツまで列車とバスで旅した。座席は広々として居心地よいし、眠っている間に次の町に着くし、列車は安くて安全な移動手段だ。その時、路線がもっとあればもっと便利に旅ができるのに、と思ったことがある。
フランス料理を私と [伊丹十三著]
伊丹十三が著名人(おもに心理学者、文化人類学者など)の自宅の台所で、フランス料理を作り、それを食べながら対談するという、文藝春秋の連載企画の単行本。
フランス料理は辻調理専門学校の講師がついて指導していて、各章のあたまに、写真入りで実況中継風に料理の作り方が掲載されている。そういうわけで、「全ページカラーというこの種の書物としては馬鹿馬鹿しい構えにならざるをえず、・・・若干値段が高くなっているが、これはやむをえないことである、とご賢察いただかねばならぬ。」と、ことわりがある。1987年発行で値段が2600円。
料理について。フランス料理って、本当にバターとクリームをふんだんに使っている。これでは動脈硬化を起こしそうだけれど、食事中にワインを飲むから相殺されているのか。ワインは侮れない、と思った。それからワインを夕食後に少し飲むようになった。
コンソメスープは仏教に通じる、と思った。コンソメの作り方は、野菜や肉の屑などを卵白で和えて、ブイヨンに入れてゆっくりと煮ていく。表面に灰汁が浮いてくるのだけれど、これを卵白がすべて吸ってしまい、その下には黄金色の澄んだコンソメスープが!泥の中の根が美しい花を咲かせる蓮のようではありませんか。
対談について。忘れられないのは、精神医学者の福島先生の「人間を変えることほど面白いことはないんです」という言葉。ちょうど戸塚ヨットスクールの事件があった頃で、福島先生、岸田秀氏、佐々木孝次氏の3名を招いて、親子関係、精神療法などについて語り合った中で出てきた言葉。
「人間を変えることほど面白いことはない」というのは、昨今の色んなことにあてはまる。ネット上の掲示板、NGOの国際協力活動、占い、職場や友だち同士の関係、母親などなど。みんなが色んなことを言っているけれど、すべて自分以外の人間を変えてやろうということから来ているのではないのか。前から思っていたけれど、他人が忠告することってだいたいが無責任で、面白いから言っているという面がある。つまり、人の忠告は聞き流し、自分自身に正面切って問いかけることが一番要なんだ。
バブル期が始まる直前に発行された本だが、今指摘されていることが何点も出てきている。利潤そのものを追求するような経済は行き詰まる、とか、経済の発展によってジェンダー(男と女という性別の特性)が失われて、消費者や労働者という括りで分けられる「人間」になってしまったということとか。だから草食系男子になってしまったのかも。男子に「男」を求めるのは見当違いということか。
伊丹十三自身が色んな価値観やものさしを持って世の中を見ているので、対談相手から引き出されてくるものが多様でおもしろい。でも、最後に辻調理専門学校の辻氏との対談で、伊丹十三がこれまでの経験から「フランス料理をこう捉える」と言ったら「それは一元的な物の見方だ」とばっさりやられていた。そうかな。
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