「ハゲタカ」の著者真山仁が
教育テレビの「こだわり人物伝」で取り上げていた。
真山さんは横溝作品では「獄門島」が一番の傑作と言う。
私も横溝作品は人形佐七シリーズを除いて全部読んだ大ファンだが、「悪魔の手鞠唄」が一番の傑作と思う。
「獄門島」は以前読んだけど、筋は忘れていた。この人が犯人のはず、と思い定めて読んでいたら違っていた。
カンボジア旅行中、ちょうどシアヌークビルにいる時に読んでいたので、同じ海辺の島嶼部で、臨場感があった。
終戦後という時代、海辺の村の社会構造など、この時代でなければ成り立たないトリックと筋だ。
けれど、インターネットの時代に読んでも、鮮明に情景が浮かび、作品の中に引き込まれてしまう。
トリックだけでなく、人間を描いているからだと思う。
推理小説は文学の中では格下と見られがちだけれど、何十年後にも読まれる作品は、人間ドラマとして優れているし、しかも読者をあざむくトリックも考え抜かれていて、作者は相当頭いいと思うんだけど。