読んだ本と、映画館で観た映画の記録をつけています。
おもしろかったポッドキャストの記事の紹介も。ポッドキャストは、NPR:Story of the DayとKCRW:GOOD FOODから。
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2012-12-05
007 スカイフォール [サム・メンデス監督]
シリーズの中で一番人間ドラマが描かれている作品だと思う。
ダニエル・クレイグシリーズは1作目と2作目は、ジェームズ・ボンドの恋人への愛にまつわる話だったが、3作目は母への愛がテーマなのかな、という気がする。M役のジュディ・デンチを史上最高齢のボンドガールと呼ぶ映画評論もあった。
Mのドラマがジェームズ・ボンドと同じ位の比重で描かれており、名女優ジュディ・デンチがMをリアルな存在として演じている。2作目と3作目の間にMは未亡人となり、ハイテクマンションから市内の戸建てに引っ越しているし、高齢を理由に退職を迫られてもいる。ボンドの荒唐無稽なスパイアクションとは別の、役人としての情報部員のドラマが描かれている。
敵役はハビエル・バルデム。敵の本拠地が軍艦島のような島だったので、世界にはこういう島が他にもあるんだ、と思ったら、最後のクレジットロールにロケ地としてGUNKANJIMAと出てきた。
レイフ・ファインズがM=ボンド側と対立するMI6の監視役として登場。なんてイヤミなエリートなんだ、と思っていたら後半、Mが襲撃されるシーンで活躍。ラストでボンドの上司役Mに就任し、ボンドとチームを組むことになる。この作品で一番カッコいい役だ。
ダニエル・クレイグ007はショーン・コネリー007へのオマージュに溢れている気がするのだけれど、終盤、ボンドの故郷が登場して決定的だ、と思った。ショーン・コネリーが007役を演じることになった時、ジェームズ・ボンドはスコットランド人ではない、という批判があったらしい。でもボンドの故郷スカイフォールをスコットランドにしたこの作品は、スコットランド人であるショーン・コネリーへのオマージュではないか、と思う。
冒頭シーンでボンドの同僚として追跡、戦闘シーンで活躍するイブが、ラストでMの秘書となり、本名がマネーペニーであると明かす。007シリーズの原点に戻っての幕引きだが、内心、ミスマネーペニーはやがてMI6で昇進して、新たな"M"になるのではないかな、と勝手に妄想してしまった。