若き日のクリント・イーストウッド、超クール。
粗織りのポンチョ、シープスキンのチョッキ、タンガリーシャツ、藍染めの細いバンダナ、ストレートジーンズ、バックスキンのライディングブーツ。衣装がキマっている。「午前十時の映画祭」のサイトによると、この衣装はイーストウッド自身が考えて用意したものとのこと。
粗織りのポンチョは本当にカッコよくて、昔から欲しいと思っている。裾をめくって肩にかけ、腰の銃に手をかける仕草にはホレボレする。
黒沢明の「用心棒」を下敷きにしている作品。黒沢作品は観たことがないが、この状況設定は西部劇だからこそ生きるような感じがする。外界と隔絶する砂漠の中の小さな町、対立する二つの派閥、しかもそれぞれ白人とメキシコ人と人種が異なっている。そして現れる凄腕の風来坊。映画の中の登場人物たちの位置関係はわかるけれど、三者の背景についての説明は全くなし。対立とその間で画策する主人公の動きが、サスペンスとアクションを紡いでいく。
この映画にメッセージは何もないけれど、演出と俳優の演技が観客を映画の世界にどっぶり落とし込んでくれる。最後に主人公の風来坊が颯爽と去る姿にカタルシス。チープだけれど映画の本質が凝縮されている。
それにしてもクリント・イーストウッドの立ち姿と横顔はルパン三世に似ている。
1964年。製作イタリア。