2009-08-29

都会の農園 | モンゴルで狩猟 | 学校給食の問題 [GOOD FOOD]


Original Title: School Lunch; The Man Who Couldn?t Eat; Hunting in Mongolia

自分の家の裏庭で、30羽以上の鶏、七面鳥を育て、養蜂と果樹栽培をしている女性の話。

土地は3/4エーカー、約3平方キロメートル。裏庭といっても結構広い土地じゃない?昔はクルミ農園だったとのことで、140歳のクルミの木の他、113種の果樹がある。農業で肝心なのは、忍耐と冷酷を持ち合わせることだと言っている。果樹が育つのを待つ忍耐力、でも実の味がよくなければ容赦なく引っこ抜く冷酷さもなければ。それから、この女性は"肉食"家だから、自分が育てた鶏や七面鳥を食べるのは理想だったと言っている。確かに、有機野菜より有機肉の方が手に入れにくい。

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女性シェフ4人がモンゴルで鹿を撃って、その肉を食べた話。

ウランバートルから車で10時間以上移動したシベリア国境の川沿いにキャンプを設けて、釣りをしたりハンティングをしたりした。シェフだから、これまでも肉を捌くことはしたことがあったけれど、自分たちが撃った鹿を解体したのは初めてだった。解体して驚いたのは、動物の体はまったく汚れていないということ。自分たちがつかまえた魚や鹿を、野生のユリネやハーブで料理して食べる旅だったよう。モンゴルでは新鮮な野菜や果物は手に入らない代わりに、新鮮なたんぱく質が手に入る。異なる文化を実感できる冒険の旅だ。肉食系女子ですね。

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オバマ大統領が、学校の給食を改善すると小学生に約束した話。特にミシェル夫人が食育に大きな関心を持っている。

アメリカの給食は、生徒たちが食堂に食べに行くのだけれど、そこで供されているのは、ピザ、ハンバーガー、無果汁のジュースなど栄養に偏りがある料理ばかり。政府は学校給食1食につき3ドル未満の補助を出しているが、物価の値上がりで採算をとるのは難しい。それに、学校の生徒だけがお客だから、お客が来なければまったく利益があがらない。というわけで、学校側が、町のファーストフードチェーンの出店を許している。オバマ大統領は給食の改善について何も具体策を示していないが、1966年に制定された児童栄養法(the Child Nutrition Act)が9月末で期限が切れるのに伴い、よりよい給食環境の整備に期待が持たれている。特に地元でとれた野菜や果物を生徒たちが学校で食べて、家庭でも食べる習慣をつけてほしい、と活動家は考えている。貧困層では親たちも栄養に偏りのある食生活をしているから。

2009-08-22

500人以上がGOOD FOODに寄付 [GOOD FOOD]


Original Title:The Frozen Food Master; Cocktail Renaissance; Nose to Tail at Home; Pie

GOOD FOODでポッドキャストリスナーにも購読料を払ってもらうキャンペーンを実施していたが、500人以上が申し込みをして、5万ドル以上の資金が集まったとのこと。この回からまた番組が60分に戻った。申し込んでくれた人ありがとう。おかげで私もまた番組を楽しむことができます。

番組ホストは「一日ひとつのパイ」キャンペーン(?)を呼びかけているのだけれど、今回はパイ作りの名人(?)が登場して、パイについて盛り上がっている。なるほど、と思ったのは、パイ生地を作る時に、水にウォッカを混ぜる方法。オーブンで焼くとウォッカが蒸発して、よりサクサクした仕上がりになるとのこと。酢を混ぜるレシピもあるのだけれど、ウォッカとはね。

いろいろなパイの作り方が紹介されているが、ココナツクリームパイは作ってみようと思う。ヴァージニア州でパイおばさんとして有名なミセズ・ロウのレシピ。1942年未亡人となったミセズ・ロウは3人の子どもを育てるため食堂を始めた。この店は地元では有名で、今年67年目を迎える。ココナツフレイク入りのカスタードクリームの上にメレンゲをのせて焼いたもの。メレンゲに焼き目がついておいしそう。

2009-08-19

チェイシング・リリー[マイクル・コナリー著]


ナノテクのベンチャー企業のオーナーが、引っ越し先の間違い電話を受けたことから失踪した売春婦の行方を追うミステリ。

素人探偵なのに、頭を働かせてどんどん情報を集めていく。主人公はスタンフォード大卒という設定だけれど、頭のいい人は物の考え方がちがう。といってもそれは、作者コナリーが全部お膳立てしているからなのだけれど。それでもかなり夢中になって読んでしまった。

探偵ごっこと交互して主人公の専門分野の説明が出てくる。いわゆるナノバイオについて、ベンチャー企業の経営管理についてなど。コナリーのことだからいずれ終盤でこれらが全部関係してくるんでしょう、と思っていたら見事に縒り合わさった。

中盤、主人公のピアスの行動を反対側から見れば、すべてが彼を加害者と指摘しているという展開にぞっとした。冤罪はこんな風にしてできあがるのか。

以前の作品「夜より暗き闇」を読んでいて、チャンドラーの「長いお別れ」を思い出したけれど、この作品でも前半に少しだけ「長いお別れ」を思い出した。死んだ女と鍵を握る女の両方を追っているからか。それからもちろんこの作品は、エルロイの「ブラックダリア」の系統でもある。

原題は「Chasing The Dime (チェイシング・ダイム)」。チェイシング・リリーは邦題。なぜ、原題と全く異なる意味の邦題をカタカナでつけるのだろう。コナリーの「ナイト・ホークス」は原題をカタカナにしたものかと思っていたら、原題は「The Black Echo」だった。

訳者はあとがきで、この作品にはコナリーの以前の作品のキャラクターが登場し、しかも主人公も以前の作品のどこかに登場しているようなことをほのめかしている。「いやいや、それは読んでのお楽しみだ」とお茶を濁しているけれど、あとがきなんだからネタバレしてくれよ。

コナリー作品は、2001年の「夜より暗き闇」(原題:A Darkness More Than Night)を最後に読んでいなかったけれど、また読もうと思う。

2009-08-09

GOOD FOODから寄付のお願い [GOOD FOOD]


Original Title:Wine Flights; Ludo Bites; the FDA and Food Safety

今週は30分の長さだった。番組ホストがポッドキャストリスナーに対して購読料の寄付をお願いしている。月々5ドル。月500円、1年で6000円か----。

GOOD FOODの放送局KCRWはロサンゼルスの公共放送局。

だからいつもは60分の長さなのに、今週は番組が30分になってしまったのだろうか。聞き始めた当初は2時間番組だった。

ところで、今回は、クリントン政権で食品安全局の局長だったDr. David Kesslerがまたもや登場。Dr. Kesslerは、油脂、甘味、塩味の組み合わせが人に中毒症状を引き起こすと言っている人。今回もドラマティックなしゃべり方で話している。別人かと思うくらい声の調子が変わるし、口調が変わる。訛り(?)から黒人かしら、と思ったら白人だった。ドラマティックなしゃべり方の人って苦手だなー。



2009-08-07

本覚坊遺文 [井上 靖著]


一行目から作品の世界に引き込まれてしまった。

千利休が豊臣秀吉からの賜死を諾々と受け入れた理由を探っていく話。利休の最後の弟子、本覚坊が利休の死後、利休ゆかりの人たちと交流する中で、その謎を自問自答し追究していく。第一章はとても丁寧なへりくだったような優しい語り口なのだが、第二章からは語り手は本覚坊のまま、三人称のような冷めた語り口に変わっている。それを違和感なく読み継いでしまった。

色々なことを考えながら読んだ。

まず、「茶の湯」は"風流"を味わうためのものではない、ということがわかった。戦国時代、武将たちは「茶」によって心の平静を確保し死に赴いていった。「茶」は極めて哲学的な儀式であり心が交わる場であったのだ。映画「レッドクリフII」で、曹操に捕らわれた周瑜の妻が、劉備軍に攻撃をしかけようとする曹操に茶をふるまうエピソードがあったが、これこそが「茶」のあり方だったのか。

それから、千利休のいう「侘数寄」と今巷間でもてはやされているロハス系は通じている、ということ。雑誌「天然生活」や「ku:nel」、そして「暮しの手帖」などが唱えている、シンプルで地味だけれど質がいいものを生活に取り入れることと「侘数寄」は似ている。特に、シンプルで地味だけれど質がいいものが、実は大変お値段が張る!というところも。日本人にはこういう性向がもともとあり千利休がそれを具現化したのか、千利休以降、こういう生き方がもてはやされるようになったのか。

そして「小説」について考えた。本覚坊は、交流する人たちが漏らす言葉をヒントに、最終章で千利休の死の背後にある真相に辿り着く。真相は、実は井上靖が世に問いたいメッセージなのだが、そのメッセージを読者に得心させるため、各章で語り口を変えたり、各章で本覚坊が出会う人物を選定したり、作品の構成が考え抜かれている。小説はこのように書くべきなのか。

「本覚坊遺文」は薄い本だが、その中に「茶」のこと、戦国から徳川までの歴史、各人の生き様、本覚坊が真相に迫っていく過程が詰め込まれている。しかし穏やかな本だ。静かな夜、机に向かって読みたい。



井上靖の作品を読んだのは、これが初めて。この本を読むことにしたのは、雑誌「pen」258号の千利休特集を読んだから。この特集もよく編まれている。

2009-08-04

ヨセミテ自然公園で送る一生 [NPR]


Original Title: Call Of The Wild: How Ranger Became 'Yosemite Bob'[NPR]

カリフォルニアのヨセミテ国立自然公園のレンジャーへのインタビュー。
バックグラウンドで、「ヨセミテ・ボブ」が録音した朝のヨセミテの音が流れている。騒々しい程の鳥のさえずり。何十種類もの鳥が、朝日とともに木々のあちこちでさえずっている。

この人は、もう40年以上ヨセミテで働いている。初めてヨセミテを訪れたのは子どもの頃、家族と旅行で来た時。素晴らしい自然に感銘を受け、帰る時に自分の心の一部を置いてきてしまったようだったと言っている。

高校の時、何かの事故で学校をドロップアウトすることになり、父親が「これからは自分で働いて稼がなければならない。どんな仕事をしたいか」と聞いた時「ヨセミテで働きたい」と答えた。父親がヨセミテ公園に電話すると、ちょうど19才の男子に向いている仕事口があった。それでボブはヨセミテ公園で働くことになり、それから40年ずっとヨセミテで働いている。

ボブには二人子供がいて、一人はやはりヨセミテ公園で何かの研究者として働いている。もう一人は北部の自然公園でレンジャーとして働いているとのこと。

インタビューの終盤は、夕方のヨセミテでボブが録音した音が流れていた。それはカエルの鳴き声。

自然公園のレンジャーと聞いて、体育会系をイメージしていたが、穏やかな口調で話す内容が詩のよう。高校を中途退学しても、自分が好きな(と言わないまでも嫌いではない)ところに自分の居場所を確保できれば、人は良く生きることができるのだなぁ、と思う。話とヨセミテの音を聞いていて、涙ぐんでしまった。

写真はこの番組の記事が掲載されているNPRのウェブサイトから持ってきてしまったヨセミテの風景。

ゴーストタウンの農園 [GOOD FOOD]


nov_n_pigs
nov_n_pigs,
originally uploaded by
Farm City.
Original Title: Urban Farming; Pie; Wine Gadgets; A Part-Time Vegan

カリフォルニアのオークランドにあるゴーストタウンで農業を始めた人の話。

高速道路が建設されたために何十年も前に見捨てられた地区に引っ越した女性。お隣が空き家で草ぼうぼうだったのを見て、「何か育てたらいいんじゃない」と考え、野菜を植え、果物の木を植え、家畜まで飼うようになった。

でも大家には空家で農業を始める前に許可はとらなかった。ある日大家がやって来て、豊かに生い茂る農園を見て驚いたけど、まぁいいでしょうってことになったよう。

今ではこの農園(?)に6匹のヤギ、7羽の鶏、12羽のウサギがいる。七面鳥と豚も何匹か。家畜を飼っていて肝心なのは、屠殺すること。ウサギは自分でさばくが、ヤギはご近所から見えないようにして庭で殺す。この時は近所の酒屋さんが解体してくれた。

この農園がある場所は、本当に町中。ビルが立ち並んでいる。何十年も前に見捨てられた地区だが、当時の建築様式の絵になる古い建物ばかりだ。住んでいるのは、この一家だけでなく、アフリカからの移民も住んでいる。たぶん、家賃が安いから。というわけで、ご近所からの苦情はほとんどなく、むしろアフリカから移民した人たちは、故国を思い出して懐かしがっているよう。

たしかに、アフリカでもアジアでも、その国の首都の路上でも鶏がいたり、ヤギが歩いていたりしている。インドでは牛、エジプトではロバも。人と機械だけの町の出現はごく最近のことで、全世界の現状を見たら少数派かもしれない。

この農園のヤギはビル内の階段を上がったり下りたり、岩場に住む本来の習性を謳歌しているらしい。


写真はFlickrに載っている、ゴーストタウン農園の写真から。

2009-08-01

ラテン系と中国系で異なる親の期待 [NPR]


Original Title: At School, Lower Expectations Of Dominican Kids [NPR]

同じ移民でも、ラテン系と中国系で学習達成度が異なるという話。

ラテン系生徒の保護者は教育熱心でない、という先入観が教師にあるという。こういった偏見のために、ラテン系生徒に対して教師は熱心に指導しようとしないので、一度落ちこぼれたら再び学力を取り戻すのが難しくなっているとのこと。ボストンの高校を例にしている。

ところが、同じ移民でもラテン系と中国系生徒がいれば、中国系生徒の方が優秀、と誰もが考えるらしい。

中国系生徒の方がデキるのは確かなようで、それは親の収入に関わらず中国系移民全体のネットワークができていて、子どもの教育について情報交換し合っているからのよう。

この記事をレポートしている記者はラテン系。この人は7月下旬にも、ラテン系生徒の英語学習をサポートしているボストンの高校教師を取り上げていた。ラテン系生徒はまず、英語ができないというハンデもあるようだ。

親の意識が子どもの学習に与える影響は大きいのは確かだ。でもなぜラテン系の親は教育熱心でないのかの背景は、この番組ではわからない。

先日、オバマ政権で初のラテン系最高裁判事が任命されたけれど、こういった状況ではやはり画期的なことだったのだろう。