読んだ本と、映画館で観た映画の記録をつけています。
おもしろかったポッドキャストの記事の紹介も。ポッドキャストは、NPR:Story of the DayとKCRW:GOOD FOODから。
コピー&ペースト等転載はお断りします。
2009-06-10
レイプ事件で注目される約款 [NPR]
Original Title:Rape Case Highlights Arbitration Debate
「戦争サービス業」「戦争請負会社」に必ず名前が出てくる民間軍事会社の一つにハリバートン社がある。この会社に雇われ、2005年イラクに派遣された20歳のアメリカ人女性社員が、イラクに着いて4日目に、ハリバートン社の社員数人にレイプされた。飲み物を勧められてふた口飲んだ途端意識を失い、気が付いたら裸でひどく殴られた跡が体中にあった。乳房の形が変わってしまったほど。
彼女は、ハリバートン社を裁判に訴えたいのだけれど、どの裁判所も彼女の訴状を拒否している。なぜか。雇用契約書に、社員は会社を裁判に訴えられないという条項があるからのよう。
会社を裁判に訴えることができない、という条項はクレジットカードの約款にもある。でもあんなに細かい文字で延々と続くわかりにくい文章のどこにそれが書かれているのか、殆どの人たちはわからない。わからないまま契約をせざるを得ない。
もし、クレジットカード会社との間に何らかの問題が発生した場合、裁判ではなく調停に持ち込むことになる。これまで調停に持ち込まれたケースのうち、消費者の94%は負けている。というわけで、負け戦とわかって調停に持ち込む消費者は殆どいないので、殆どクレジットカード会社の思い通りにコトが進んでいるというわけ。
しかし、このハリバートン社の若い女性社員のレイプ事件で流れは変わってきているよう。この女性は自分の一生をかけて、会社を裁判に訴えることができないという約款の条項を撤廃する運動に貢献していく決意でいる。
何か問題があれば裁判で戦いたいというのはアメリカ人だからこそ、かも。それにしても、民間軍事会社はやはり暴力団と同じではないか。そして「戦争サービス業」「戦争請負会社」に書かれているように、民間軍事会社は国の行政と密接な関係にあり、法的に守られているという事実の一端を見た。法務省はNPRの取材に対して、なぜこの女性社員の訴えを裁判所が取り上げないのか、という理由の説明を拒んでいるという。