BOOKS, MOVIES, & PODCASTS
読んだ本と、映画館で観た映画の記録をつけています。
おもしろかったポッドキャストの記事の紹介も。ポッドキャストは、NPR:Story of the DayとKCRW:GOOD FOODから。
コピー&ペースト等転載はお断りします。
2014-04-22
新しき土 [伊丹万作, アーノルド・ファンク監督]
以前観た伊丹万作の「赤西蠣太」がとても面白かったので、観てみることに。1937年、ドイツとの合作。東京都写真美術館「山岳映画特集上映」で上映されたのを観た。
ドイツの映画監督との合作のせいか、日本が不思議に描かれている。
小作農の息子だが、秀才であるため地主の養子となってドイツ留学した青年が、ドイツ人の女友だちと日本へ帰ってくる。養子先の娘は義兄に恋していて、いずれ結婚するつもりでいたが、ドイツ人女性の登場で精神錯乱、ドイツ帰りの青年は、学んで来たヨーロッパの思想と日本の現状の落差に戸惑う。
終盤、失恋の痛手から火山口から身を投げようと、娘は嫁入り道具の振り袖を着て山へ登る。それを知った青年は、靴下履きで火山を登って追いかけていく。なぜ靴下履きになるのかというと、途中に湖があり、泳いで渡るために靴を脱いでしまったから。
結局、2人は無事に山を下り、青年は土地に根ざした生き方に自分の人生を見いだす。
と、あらすじをまとめたけれど、観ている間中、話になかなかついていけなかった。
原節子が16歳で映画初主演した作品とのこと。他に早川雪舟、小杉勇が出演。原節子の父親役の早川雪舟は存在感があって、彼の演技で何とか話についていくことができたような気がする。特殊撮影円谷英二。音楽山田耕筰。
2014-02-28
地獄でなぜ悪い [園 子温監督]
「恋の渦」の併映作品なので観ることに。
「恋の渦」が昭和名作喜劇映画を継承しているとすれば、「地獄でなぜ悪い」は、70年代のハチャメチャ不条理路線を継承しているように思われ....。
「てなもんやコネクション」(山本政志監督1990年)以来の眩暈を感じた。
恋の渦 [大根 仁監督]
ナニ!この映画。すっげぇおっもしろいじゃん!
冒頭シーン。アパートの一室にこの映画のほぼすべての登場人物8人が出入りしつつ延々としゃべっている。デジカメで撮ったというこのシーンは、ワンカットではなかったと思うけれど、まるでドキュメンタリーのようにそれぞれのキャラを切れ目なく写している。上映後の監督と出演者のトークショーで、このシーンは十回以上(?)撮ったと聞いて、感銘を受けた。すごいよ日本映画。監督も、役者も、かなり深い力を持ってる。同じ調子、同じ動きをテンションを変えずに短時間に何度も演じ続けるのは、力がなければできないことだと思う。
この映画は、言ってみれば、"等身大の若者を描いた"ドラマなのだけれど、人間ってやつの可笑しみを描いている昭和の名作喜劇映画に通じるものがある。あの頃と日本人って全然変わってないじゃないですか。
上映後のトークショーで生で見た役者さんたちは素も魅力的でした。監督も。スクリーンで見ていた時に感じた身長の差と実際の身長が異なることにちょっとびっくりした。平日午後というのに客席ほぼ満席で、なぜか男性客多し。20代から60代。館内が男汁臭かった。
ラスト、のけぞった(心の中で)。ドラマはまだまだ続くよ---。
2014-02-14
ソウルガールズ [ウェイン・ブレア監督]
1960年代末にオーストラリアに実在した女性コーラスグループを描いたオーストラリア映画。面白く、楽しい!
アボリジニの姉妹はカントリーミュージックのユニットを結成して町ののど自慢大会に出場するが、人種差別の現状を見せつけられるだけ。しかし司会を務めた白人男が姉妹の才能を見いだし、ソウルミュージックを演奏したらいい、とマネージャー役を買って出る。隔離政策によって都会に連れ去られていたいとこも合流して、サファイヤズというコーラスグループを結成、ベトナムへ慰問ツアーへ行く。
サファイヤズ4人のうち、末妹を演じたジェシカ・マウボーイはオーストラリアの人気シンガーとのこと。長姉と次姉を演じた2人は、それほど美人には見えないのだけれど、映画が進むうちに、特に長姉のデボラ・メイルマンが本当にステキに見えてくる。マネージャー役のクリス・オダウドもダメ男の魅力全開。
「君の家族を、オレの家族と言いたいんだ」
シビれる口説き文句だ。
アメリカ以外の土地でのソウルミュージックがテーマの「コミットメンツ」もイカした映画だった。それから、音楽がイカしているオーストラリア映画といえば「プリシラ」。この2作は大好きな映画。「マッド・マックス」も公開されるというし、オーストラリアに行きたくなった。行かねば。
映画を観たこの日、東京は記録的な大雪だった。
2014-02-12
ROOM237 [ロドニー・アッシャー監督]
映画「シャイニング」を勝手に解釈する映画。おっもしろい!!!画面に仕掛けられた謎をシャイニングに魅せられた人たちが(多分全員業界人)勝手に解いていくだけの映画。この映画と本編を交互に観たい。
冒頭の空撮シーンの意味から、オーバールックホテルの間取りの矛盾、倉庫に積み重ねられた食品のラベル、画面に映り込んだ光の反射、ありとあらゆるシーンについて突っついている。
「シャイニング」を観ていて、あれ?っと思う箇所がいくつかあるのだけれど、ストーリーを追うのに夢中になって、まぁいいや、と流してしまっていたところを、彼らは何度もテープ(!)を巻き戻して図まで描いて検証している。解説者(?)たちは、アメリカでは名の知られている業界人なのだろうけれど、こちらでは無名なので、彼らの勝手な言い分が「ROOM237」にいかがわしい雰囲気を与えている。それもまた怪しく面白い。
ROOM237とは、映画「シャイニング」で、ジャックが腐敗した老婆の霊と出会う部屋。原作では217となっているのをキューブリックが映画では237と変えた。そのことで、スティーブン・キングは大むくれしたらしい。
原作の小説「シャイニング」は、主人公ジャックが抱え込んでいる父子の葛藤を底辺で描いている。彼の心の闇とホテルの闇が出会う怖さ。ホーチミンのホテルに滞在していた時に読んだが、あまりの怖さに部屋にいられなくなってロビーでずっと読んでいた。読み終わった後は、古本屋に出してしまった。手元に置いておくのが怖くて。
映画「ROOM237」をもう一度、巻き戻しながらじっくり観たい。
2014-02-10
陽気なギャングの日常と襲撃 [伊坂幸太郎著]
「陽気なギャングが地球を回す」の続編。おもしろかった。
前半は、銀行強盗チームを結成する男女4人がある事件にそれぞれ別の局面で関わり合いを持つ様子が描かれている。後半は、その事件から派生した別の事件で、チームがそれぞれの役割を果たして現金収奪に成功する、という話。
前作が映画化されており、キャストを知ってから読んだので、登場人物を演じた役者のイメージで読んでいた。
ベテランミステリファンとしては読みながら伏線を感知したいのだけれど、伊坂氏は巧妙に伏線を仕掛けるので、前半はまたもやかなり緊張しながら読んでたが、終盤はそんなことも忘れて熱中して読んでしまった。
2014-01-26
燃えよドラゴン [ロバート・クローズ監督]
低予算だけど映画的面白さが詰まっている!!
ブルース・リー演じる拳法の達人が、(たぶん)イギリス統治府から犯罪組織の捜査について依頼され、犯罪組織主催の格闘技トーナメントに出場するため単身、会場となる島へ渡る。
ブルース・リーの肉体と格闘技はもちろん素晴らしいのだけれど、彼が演じる主人公のストイックな態度にも痺れる。色仕掛けになびかない、冷静沈着で注意怠りない行動、諦めない強い意志。これは少年たち(と少女たち)が人生に影響を受けてしまうのも無理はない面白さだ。この日の劇場の客席は、公開当時の少年たちでほぼ満席。ブルース・リーは、あの時から全く色褪せないカッコよさだった。
それから、終盤の鏡の部屋でのラスボス対決は、こんなチープな格闘映画にしては、映像が凝っていて、冒頭に語られていた拳法の極意を象徴していて面白かった。
日本では「燃えよドラゴン」の後に「ドラゴンへの道」が公開された。「ドラゴンへの道」を観た後しばらく、ブルース・リーに心を持っていかれた時期があったよ。
1973年製作。返還前の香港が描写されているのも貴重。
2014-01-20
陽気なギャングが地球を回す [伊坂幸太郎著]
おもしろかった。
映画「アヒルと鴨のコインロッカー」を観て、ヤラれたー!!という衝撃があったので、伊坂作品は絶対に気を許してはいけない、という心づもりで読み始めた。というわけで、前半はものすごく緊張しながら読んだ。
ある事件現場に偶然居合わせた男女4人が銀行強盗チームを結成し、次々と銀行襲撃を成功させるが、あるヤマで収奪金を横取りされてしまう。横取り犯を追って、それを取り戻すまでの話。
題名も洒落ているが、内容も洒落たピカレスク小説。
2014-01-18
ゼロ・グラビティ [アルフォンソ・キュアロン監督]
宇宙ステーションで船外活動中に、破壊された衛星の破片による事故で、宇宙の真っ只中に放り出された宇宙飛行士が地球に戻るまでの話。
予告編を観たときはまさかアカデミー賞候補になるとは思わなかった。船外活動中の宇宙飛行士は3人。インド人宇宙飛行士は冒頭で破片に当たって犠牲となる。サンドラ・ビュロック演じる主人公は宇宙飛行士になる前に子供を亡くしており、時に生きる意欲を失うが、ジョージ・クルーニー演じる軍人宇宙飛行士のリードで地球に戻る努力を続けるが.....。G・クルーニー、なんて感動的にカッコいいんだ!
中盤からはたった一人となった主人公が、宇宙に散在する各国の宇宙ステーションをめぐりながら、脱出用ポッドで地上に生還する。邦題は"無重力"になってるけど、ラストで原題の"gravity"を実感させられた。映画史上に残るローアングルだ。
主人公が、放棄された宇宙ステーションで地上と交信するシーンがある。この交信シーンを地上側から描いた短編動画がYouTubeで公開されていた。短編を監督したのは、本編監督の息子とのこと。本編を観ながら想像していた地上の状況と、YouTube版が描いている状況はまるで異なっていた。いずれの人生も厳しいものなのである、ということなのか。
監督は「ハリーポッターとアズカバンの囚人」の監督。
しかし、高所恐怖症にはスリル倍増の映画だった。
2014-01-17
女王陛下の魔術師 [ベン・アーロノヴィッチ著]
スマホ時代の魔法使いのお話。
アフリカ系の血を引くロンドン警視庁の新米巡査は魔法の才能を見いだされ、魔法関連の犯罪を扱う特殊犯罪課に配属される。上司は、前々世紀から生きているらしい魔法使い警部。
前世紀に不慮の死を遂げた犯罪者の怨霊による犯罪に、テムズ川の精霊、ロンドンを徘徊している亡霊たち、そして現代の電子通信機器を駆使した捜査が絡んでくる。お伽話の世界と電子機器を融合させている変わった作品。
登録:
投稿 (Atom)