読んだ本と、映画館で観た映画の記録をつけています。
おもしろかったポッドキャストの記事の紹介も。ポッドキャストは、NPR:Story of the DayとKCRW:GOOD FOODから。
コピー&ペースト等転載はお断りします。
2013-07-22
3月のライオン [羽海野チカ著]
8巻まで一気読みした。またもや骨太のドラマだ。
中学生でプロ棋士となった桐山零を主人公に、将棋の世界と彼を取り巻く人々のドラマを描いている。すべての巻の裏表紙に必ず「様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です」と書かれている。
両親と妹を交通事故で亡くし天涯孤独となった主人公は、父の友人のプロ棋士の家に引き取られ、棋士として育てられるが、養父の実子たちは棋士として主人公ほどの才能がなく、中学生でプロとなった主人公は養父の家を出て自活を始める。たった一人ぼっちで登場した主人公が、棋士仲間、偶然知り合った姉妹たち、高校の先生と先輩たち、との付き合いから"何かを"得て自分の人生を広げて深めていく。彼を取り巻く人々にも葛藤があり、主人公と関わることで彼らも"何かを"得て人生を深めていく。若い人たちだけでなく、中年、初老の登場人物の人生が描かれていて、ドラマを重厚にしている。
タイトルの3月のライオンは、棋士の順位をつけるリーグ戦の最終局、昇進を賭けた一戦が3月に行われることに由来するよう。
単行本には、先崎八段が将棋の世界を色々解説しているコラムがあり、おもしろい。「ハチミツとクローバー」にも掲載されていたけれど、巻末の羽海野チカさんの漫画家生活のショート漫画を読むのも楽しみ。
2013-07-15
ウー・ウェンクッキングサロン読本1 小麦粉料理 どうしてもわからなかった おいしさのひみつ [ウー・ウェン著]
ウー・ウェンさんの「北京小麦粉料理」の続編といえるが、もっと実用的で、ウー・ウェンさんの考えが反映されている。
「北京小麦粉料理」に掲載されていない、でもカンタンに作れて特別に見られる料理がいくつかあった。その一つがドライイーストを使った焼餅。これを応用するとフライパンでシナモンロールが作れるのではないかと思う。
"西洋ならオーブンでパンを焼くのが一般的ですが、中国では蒸したり、フライパンで焼いたりが普通です。私たち東洋の国では、もともとオーブンを使う料理が少ないですね。同じ小麦粉料理にしても、それが西洋と東洋の台所に違いだと思います"(p.72)
お菓子のレシピはオーブンがないと作れないようになっている。オーブンが普及していない日本は不便だなぁ、と思っていたが、"東洋"にはオーブンの文化がない、とウー・ウェンさんにはっきり言われてハっとした。オーブンでなくフライパンで作るレシピを考えればいいのか。
もうひとつウー・ウェンさんに言われてハっとしたこと。
中国では食事に誘うとき、食べられないものはありますか?と聞くとのこと。多民族国家なので、生活習慣と考え方が人によって違うことを前提につきあっているから。
"民族によって性格もさまざまですから、常にまわりを意識しながら生きていく必要があります。日本人はふだん民族を意識することがないせいか、中国人に比べると自己防衛の能力がとても低いように思います。とてもお人好しでだまされやすかったり、判断が甘かったり。危ないとわかっている地域にわざわざ行ったりして、中国人の私にはとても不思議に思います。中国のように多くの民族が同居する環境の中では、人への思いやりももちろん大切ですが、自分も上手に生きていく能力が重要になるのですね。"(p.81)
なるほど。たしかに日本人は他者と自分は全く異なる存在だ、ということをあまり意識しないで生活しているようだ。でも相手の立場に立って考えることができるのであれば、自ずと"上手に生きて"いけるような気がする。
2013-06-30
ハチミツとクローバー [羽海野チカ著]
かわいらしい絵から想像していたのと違って、骨太の青春群像ドラマだった。全10巻を一気読みした。
築28年家賃3万4千円のアパートに暮らす美大生3人を軸に、同級生、下級生、教員、バイト先のワケあり美女、就職先の社会人などなど大勢の登場人物が入り乱れての6年間のドラマ。
メインとなっているのは竹本君と彼が一目惚れするはぐみちゃん。凡才の竹本君に対してはぐみちゃんは天才として注目を浴びている。でもこの作品が描いているのは、凡才であれ天才であれ、現状に行き詰まり、落ち込み、壁を破って新たな一歩を踏み出す登場人物たち全員の心の過程。それぞれがそれぞれの物語を持ち、それぞれのやり方で乗り越えて行く。
一人一人が自分の問題を一人きりで抱えて葛藤しているのだけれど、仲間と過ごす時間があることで、励まされたり、癒されたり、気付かされたりしている。6年間、毎日のように会い、共に時間を過ごすことの素晴らしさ。大学の老先生たちが、青春じゃのう、と目をウルウルさせているカットが何回も出てくるのだけれど、老先生方の包容力も登場人物たちを育てていると思う。
この作品は、掲載誌が2誌も休刊になり、3誌にわたって連載が続けられたとのこと。編集者、読者を魅了した物語を紡ぎ出した作者に脱帽だ。
消えて行ってしまうものは
無かったものと同じなのかって.....
今ならわかる
意味はある
あったんだよ
ここに
2013-05-25
モネ・ゲーム [マイケル・ホフマン監督]
コリン・ファース、アラン・リックマン、キャメロン・ディアス出演。脚本はコーエン兄弟だが、監督はマイケル・ホフマン。
美術鑑定家のハリーは、彼をこき使う雇い主である富豪のメディア王に一泡吹かせてやろうと贋作を売りつけるプランを立てる。その贋作は、モネの幻の作品。ナチスドイツに侵攻したアメリカ軍の軍曹が密かに自宅に持ち帰った、という噂がある。トレーラーハウスに住む軍曹の孫娘を金で釣ってイギリスへ呼び寄せ、騙しのプラン実行のはずが....。
ハリー・ポッターシリーズでシリアスな悪役を演じていたアラン・リックマンがコメディを演じるというのと、コン・ゲーム映画が好きなので観ることに。
さすがにシナリオはよく出来ている。ネタバレになるけれど、美術鑑定家ハリーの本当の目的は贋作を売りつけることではないのです。最後にアッと驚く上に、ハリーの計画は無事成功。というわけで見終わってニヤリと明るい気分になる映画。
キャメロン・ディアスはいつまでもナイスバディを維持していてすごいや。見習わなければ。
アイアンマン3 [シェーン・ブラック監督]
アイアンマンの3作目。
アクションとドラマとミステリのテンコ盛りといった感じ。
アイアンマン1と同じく、傲慢時代のトニー・スタークが登場、それから正義の味方としてのトニー・スタークの苦悩も描かれている。
でも、やっぱりアイアンマン1が一番人間ドラマを描いていて面白いと思う。徒手空拳のトニー・スタークがアイアンマンの原型を作り人間性に目覚める前半。無敵のアイアンマンが戦う派手なアクションの後半。ペッパー・ポッツとトニー・スタークの上司部下関係以上恋愛未満のロマンスなど。
しかしここまで見続けているから、アイアンマン4も見に行こうと思う。2016年公開予定らしい。
2013-05-15
レイダース/失われたアーク《聖櫃》 [スティーブン・スピルバーグ監督]
映画館で観たのは、公開時以来。しかしビデオ(!)を持っているので、もう10回以上は観ている。が、やっぱり面白い!!
公開時に観た時の印象は、こんなに贅沢に冒険が続く映画があっていいのか!ということ。冒頭でいきなり冒険がクライマックスに達しているのだもの。宝のありかに辿り着き、手に汗握る罠が次々と現れ、命からがら逃げ切るシーンの連続。それまでの冒険映画なら冒険のクライマックスは映画の最後に登場してエンドマークが出るところだ。この、冒頭からいきなりクライマックス、というパターンは「レイダース」から始まったのかもしれない。ダニエル・クレイグ007シリーズは全部、冒頭からいきなりクライマックスだ。
レイダースのメイキングビデオも持っていて、本編のビデオの後には必ず観ていた。それで今回映画館で観ている間、このシーンのスタントは...とか、このシーンの演出は...とかを思い出していた。マリオンを乗せたトラックが爆発するシーン、ドイツ軍のトラックを奪取するシーンなど。それからマリオンがミイラに囲まれて絶叫するシーンをスピルバーグ監督が自ら実演して演出していたこととか。
「魔宮の伝説」「最後の聖戦」「クリスタルスカルの王国」とシリーズは続いていくわけだけれど、「クリスタルスカル--」と「レイダース」のエピソードがつながるのがファンとしてはすごく嬉しかった。こんなに贅沢な冒険映画が!と衝撃を受けた「レイダース」の聖櫃がすごく邪険に扱われていて、レイダースを超える面白さだよ、と言っているかのようだった。
インディ・ジョーンズシリーズは本当に好きで、レイダースのポスターも持っているし、愛犬にインディと名付けた。
2013-05-06
「お茶事」をしてみませんか-正午から口切まで15のかたち [小沢宗誠著]
茶道の様々な接待について解説している。
読んで勉強になった。今まで茶道は、かしこまって座って出されたお茶を器を吟味してから飲んでかしこまって器を返すものだと思っていた。でもこれを読んで、茶道とはいかに客を"おもてなし"、客がいかにおもてなしを受けるかを学ぶことなのだ、ということがわかった。
「本覚坊遺文」や「利休にたずねよ」を読んで、"お茶"は戦国時代の明日をもしれぬ命同士が対する濃い情の交換の場だったのだ、ということを知ったが、太平の世にあっても"お茶"は人と人との濃い心の交流を演出する場のようだ。
毎月の季節に合わせたもてなしの演出とその作法について解説している。朝ごはんをふるまう"茶"、名水をふるまう"茶"、新米を炊いてもてなす"茶"、夜咄を楽しむ"茶"。しかも、茶室ではなく洋室の椅子とテーブルでもてなす"茶"についても提案している。
お茶の流れがだいたいわかった。お客が揃うまで待合に腰掛けて待ってもらい、主人が迎え、蹲で手を洗い、茶室へご案内。ここで炭を拝見して、懐石料理をふるまう。向付、煮物、焼き物、小吸物、八寸、香の物。その間にお酒も出す。そして湯斗、主菓子。お茶を出す前に主人が茶室のしつらいを変えるので、その間お客にはまた待合に戻ってもらう。お客に茶室に戻ってもらい、濃茶、後炭、薄茶、干菓子でもてなしが終わる。
客をどうやってもてなしたらよいかは頭を悩ますところだし、客としてもいつ暇を告げたらよいか間合いを図るのが厄介だ。でもお茶事の作法を知っていたら、余計な気を回すことなくもてなし、もてなされることができる。
これはハードボイルドの世界だ、と思った。お着物のおばさま方より、袴をはいた男性の方が"茶"の場が引き立つ感じがする。
最後の章で井伊直弼の「茶湯一会集」の紹介をしている。客が帰った後の"独座観念"に感銘を受けた。
今日一期一会省みて、再び帰らざる事を観念し、あるいは独服いたす事、これ一会の極意の習い也。この時寂莫としてうち語らうものとては、釜一口のみにして、ほかに物なし。誠に自得せざれば至り難き境界なりこれだけ感銘を受けたものの、「お茶事」の読み方が、おちゃごと、なのか、おちゃじ、なのかはたまた、おさじ、なのかがわからないままです。
2013-04-09
愛しのローカルごはん旅 もう一杯 [たかぎなおこ著]
エッセイ漫画。読んでて楽しい。
神奈川、長野、茨城・福島、滋賀、宮崎・鹿児島、高知、台湾へのグルメ旅行を語っている。たかぎさんは私の地元も旅していて、これが名物料理として知られているんだ、という発見もあった。
旅の道連れは担当編集者だったり、家族だったり、友人だったり。作者と道連れとの関係もコミカルに描かれている。
写真が殆どなくてイラストで料理を紹介している。すごくリアルに描いている絵ではないけれど食欲をそそられてしまう。
たかぎなおこさんを知らなかったけれど、他の作品も読んでみようと思った。読んでいて明るい気分になれる。
2013-04-04
マリーゴールド・ホテルで会いましょう [ジョン・マッデン監督]
じんわり幸せと一抹の寂しさを感じる作品。
インドに長期滞在して余生を過ごそうとするイギリス人たちの話。夫を亡くした専業主婦、退職した公務員夫婦、退職した法律家、退職したメイド、いまだに玉の輿を狙う大年増、実年齢をかえりみないプレイボーイ。
広告に魅せられてやってきたホテルは老朽著しく、若いインド人オーナーは経営の素人。しかもここはインド!というわけで登場人物たちは色々なストレスに晒されるが、やがて居場所と友を見い出して、再び生きることに前向きになっていく。
トム・ウィルキンソンが退職した法律家を演じている。法律家はインドに暮らしていた子ども時代の親友(?)探しに奔走し、探していた友を見つけ出す。彼をずっと忘れずにいた友との再会の夜が明けた朝......。このエピソードが一番印象深かった。
それからジュディ・デンチのファッションの素敵なこと。首に巻くロングスカーフ、ロングチュニックとパンツの様々な組み合わせがオシャレ。活動的だけれどシック。
年をとることがこわい。死にどんどん近づいていることがわかるから。でも最後の最後まで前向きに生きることはできるし、健康であれば年齢にこだわらず自分が生きたいように生きていいんだ、と思わされた。とにかく、体力と筋肉の貯金をしなければ、と思う。
イギリス、アメリカそしてアラブ首長国連邦の合同製作。第2作が製作されるらしい。
2013-04-03
レ・ミゼラブル [トム・フーパー監督]
世紀の大作の一つだ。
人間の醜さ、優しさ、不幸と幸福が凝縮されている世界だ。特に人を貶めようとする力の強さに圧倒される。それに屈することなく前向きに生きていく人間の崇高さがその人を神に近づけていくのか。ラストシーンは涙が止まらなかった。
革命を目指す学生たちの活動を見ていて、アラブの春に通じている、と思った。
舞台のミュージカルがそのまま豪華でリアルなセットとともに映画になった感じ。出演者全員が歌がうまいのでびっくりした。
アン・ハサウェイは全編158分のうちたった15分しか出演していないらしいが、第85回アカデミー賞を助演女優賞を受賞した。
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