2013-01-05

緋色の研究 [コナン・ドイル著]


ホームズとワトソンが初めて出会う作品。

前半で殺人事件とホームズの推理を描き、後半で殺人事件に至るまでのドラマを描いている。

たぶん小学生の頃に読んだと思う。後半のアメリカでのモルモン教共同体の話に聞き(?)憶えがある。今読んでの感想は、BBCのドラマ「シャーロック」で描かれているシャーロックとジョンの出会いは原作にほぼ忠実だったんだ、ということ。ジョンがアフガニスタンで負傷したことまで。ということは、アフガニスタンでは19世紀から21世紀までずーーーっと戦争が続いている、ということですね。

前半のシャーロックの捜査方法は、当時それまでの推理小説にない"リアル"感を醸し出していたと思う。これ以来、推理小説の探偵といえば虫眼鏡片手に床をなめるように調べる人、というイメージがあるけれど、靴底の模様やタバコの種類など鑑識結果から犯人を割り出すのは、犯罪捜査の基本ではないか。それが何だっていうの、という些末な事柄が決定的な手がかりになり真相につながるのを読むのは楽しい。

モルモン教について書かれており、訳者が実際のモルモン教と異なる描写があるとことわりを入れている。しかし、モルモン教がいかに風変わりな新興宗教として当時の敬虔なクリスチャンに怖れを感じさせたかがわかる。