2012-11-16

アルゴ [ベン・アフレック監督]


おんんんんもしろい!!!!!久々に、これぞ「え・い・が」!という作品を観た。

1979年。ホメイニ師が政権に就いた革命直後のイランで、反米デモの群衆にアメリカ大使館が占拠される。ビザ発給部署の6人は占拠される直前に大使館を抜け出し、カナダ大使の自宅へ逃げ込む。この6人をCIAがカナダの映画製作スタッフに偽装させてイランを出国させるまでを描いている。

脚本も映像も役者も、そして演出が素晴らしい。70年代の映画のようなカメラワークと色を使っているだけでなく、スター・ウォーズ以前の70年代の映画にある映画らしい面白さが全て詰め込まれている。

1本の映画の中で、官僚、映画業界、諜報局、逃亡者、と全く異なる世界を次々と描いている。

上司と部下の駆け引き、裏切られるかもしれないという不安、"クレージー"な豪華さ、懐疑的だった登場人物が最後に全員を救う妙、逃げ切れるか追いつかれるかの緊迫感。しかしこの作品はアメリカを"善"とは描いていない。

これが実話に基づいていないオリジナル作品だったら、単によくできたサスペンスドラマ、という評価になったと思う。実話に基づいている、ということが相当観客の印象を変え、感銘を与えていると思う。

ベン・アフレックが監督と主演。映像の隅々に監督のこだわりが詰まっているのがよくわかる。すべての監督は自分の映像にこだわりを持っていると思うけれど、それをひしひしと感じた。ベン・アフレック、完全に復活しましたね。ハリウッドの伊丹十三だ、と思った。

この映画は、2013年ゴールデングローブ監督賞、作品賞を受賞した。そして!第85回アカデミー賞の作品賞も。ベン・アフレックの受賞スピーチ"It doesn't matter if you get knocked down in life. All the matters is that you get back up."に涙ぐんでしまった。